シンガー・ソングライター、高橋優さんインタビュー 9月に秋田県で野外フェス、10月に新作発表「もう一度デビューするつもりで」

 
インタビューに応じるシンガー・ソングライターの高橋優さん=18日午後、東京都港区(宮崎瑞穂撮影)

 秋田県出身のシンガー・ソングライター、高橋優さん(34)が県内各市で毎夏、行っている野外ライブ「秋田CARAVAN MUSIC FES」が9月1、2日、仙北市の田沢湖生保内公園野球場で開かれる。「秋田の良さを多くの人に知ってほしい」と始めたライブは3年目の今年、出演者を一新。10月に新作の発表も控え、心機一転でフェスに臨む高橋さんに都内で抱負を聞いた。

 「秋田の皆さんにいろんな人を見てほしいし、出演者の皆さんにも秋田を知ってほしい」。昨年より出演者は若返った印象で、CHEMISTRY、Little Glee Monster、ORANGE RANGEなどが登場する。

 横手市、由利本荘市と秋田県内で続いたフェスは今年、秋田新幹線の停車するJR田沢湖駅から徒歩圏内の会場で開催。JR東日本は昨年に続き臨時列車を増発、車内では高橋さんによるアナウンスや楽曲が流れる。「今回は交通の便も良く、列車もスケールアップした」。

 高橋さんは秋田県の「あきた音楽大使」でもあり、県観光戦略課は昨年に続き、高橋さんが開催地をめぐるブックレットを企画した。4月下旬に高橋さんが3日間、仙北市内をルポした内容をもとに制作。6月から県内を中心に無料配布されているが、品薄の状況が続いている。「僕のファンが参考にして、あちこちを『聖地巡礼』のように回ってくれている」。

 角館のパン店「ルーシーカンパニー」には、すでに全国からファンが詰めかけている。人気は製パン担当の鈴木翔さん(34)が作る「かくのだてバーガー」で、店とファンとの交流ノートは早くも2冊目になった。「僕と同世代の鈴木さんとは(秋田を)盛り上げたい、楽しんでほしいという思いが共通していた。そんな人と出合えて友だちになれるのはうれしいし、フェスをやっていく上での励みになる」。同店はフェス会場にも出店する予定だ。

 ルポで高橋さんが感じたのは「もどかしさ」だった。「おいしいものや楽しい場所がたくさんあるのに『何にもない』で済まされている。知らなかった自分が悔しい。秋田が衰退している理由が『知らない』だけならもったいない。どう知ってもらえばいいか」。

 秋田県横手市に生まれ、県内の高校を出て北海道の大学に進学、すぐに秋田を懐かしむようになった。「僕には大都会の札幌で秋田は、横手はいい町だったと気がついた。開発されていない自然の『匂い』がたくさん。加えてご近所の皆さんや家族のありがたみがあった。その良さを知ってほしいと考えたことが、フェス開催につながった」。

   ◇  ◇

 10月24日には新作アルバム「STARTING OVER」を発表する。「今年でデビューから8年、次のステージに向けて再出発したい」との思いが込められている。「全国37カ所という、僕の人生で最も長いツアーを終えて、今までの総決算が終了したような気がした。これで守りに入って、スケールが縮小するようでは本意ではない。その気持ちに一番あう言葉で、『もう一回、デビューしよう』といった感じ。ジョン・レノンの同じタイトルの曲は聴きましたが、特に意識はしていません」。

 昨年の夏の甲子園で、朝日放送の特別番組「熱闘甲子園」のテーマになった「虹」や「プライド」など先行発売されたシングルや、9月19日発売予定の「ありがとう」など全15曲を収録。秋田弁も入った遊び心あふれた曲、人生の応援歌、バラードまで、歌詞やメロディー、表現の幅が広がった印象がある。

 「そう言って頂けるのは凄くうれしいです。いったん自分の中にあるものを、全て出さないといけないと思った」。約1カ月を曲作りに専念した。「デビューする前と同じ状況で、一人で寂しかったけど、すごく楽しい幸せな時間だった。今までで一番自由に曲作りができた」。2分くらいの短い曲が数曲ある。「いたずら心もあって、即興みたいに作った曲と、入念に作った曲とがある。いままで曲に出してこなかったものを出して。おまけみたいに聞こえるかもしれないけど、すごく聴いてほしい」。フェスでも収録曲の一部を披露する予定だ。 

 ジャケットは俳優のリリー・フランキーさん撮影。「もともとお付き合いのある方の中で、カメラもやっている方にお願いした」。フランキーさんが出演し、カンヌ映画祭で最高賞(パルムドール)を受賞した日本映画「万引き家族」は「見たいんですが、まだ見られていなくて」。最近見た映画で良かった作品は「カメラを止めるな!」。低予算映画が異例の全国ヒットとなっている話題作で「むちゃくちゃ面白かったです」と映画通の素顔に戻った。(藤沢志穂子)