カンヌ国際映画祭 五月革命から50年 #MeToo運動の舞台にも - 産経ニュース

カンヌ国際映画祭 五月革命から50年 #MeToo運動の舞台にも

映画業界の性差別に抗議して82人の女性がレッドカーペットに集結した =12日、仏カンヌ(ロイター)
「気狂いピエロ」のキスシーンをあしらった今年のビジュアルが掲げられたメーン会場の入り口=8日、仏カンヌ(ロイター)
 日本人では21年ぶりの最高栄誉となるパルムドール(黄金のシュロ)を是枝裕和監督(55)にもたらして、19日(日本時間20日未明)に閉幕した第71回カンヌ国際映画祭。今年も数多くの映画がスクリーンを彩り、さまざまな映画人が友好を深めた。五月革命の余波で中断となった1968年から50年という節目の今年、フランス南部のリゾート地を舞台にどんなドラマが繰り広げられたのか。(藤井克郎)
                   ◇
 21作品が選出されたメインの長編コンペティション部門には、日本から参加の是枝監督「万引き家族」、浜口竜介監督「寝ても覚めても」のほか、仏のジャン=リュック・ゴダール監督、米国のスパイク・リー監督、韓国のイ・チャンドン監督といったビッグネームが顔をそろえた。
 是枝監督の最高賞受賞は、1997年の今村昌平監督の「うなぎ」以来だった。今年の審査員長で豪出身の女優、ケイト・ブランシェットは授賞式後の会見で、最高賞の基準を「並外れた演技、演出、撮影といった映画のすべての要素が一つになっていなくてはいけない」と指摘。「万引き家族」には「完全に圧倒された」と評価した。
 異色だったのは、「イメージ・ブック」で特別パルムドール賞を受賞したゴダール監督だろう。今年だけ特別に設けられた賞で、ブランシェットは「ゴダールの作品について話し始めたら、みんな止まらなくなった」と9人の審査員の総意だったことを明かした。
 1950年代末に始まった映画の革命、ヌーベルバーグの旗手だったゴダールとカンヌは、切っても切れない関係がある。68年、民主化を求める運動が仏全土に波及した五月革命に至る過程で、史上初めて映画祭が会期途中で中止になった。このときゴダールは、フランソワ・トリュフォー監督らとともに映画祭会場に乗り込み、政府や映画業界への抗議を表明し、映画祭を中止に追い込んだ。
 それから50年。今年の映画祭のポスターにゴダール監督の代表作「気狂いピエロ」(65年)をあしらったビジュアルが採用され、特別パルムドール賞を受賞するとは、隔世の感がある。
 世界中の耳目を集めるカンヌは、その後も時代の世相、社会情勢を色濃く反映してきた。今年の映画祭で最も話題を呼んだのは、米プロデューサー、ハーベイ・ワインスタインのセクハラ問題から波及した「#MeToo(私も)」運動だろう。会期中の12日には、ブランシェット審査員長ら82人の女性がレッドカーペットに集結し、映画界の性差別に抗議した。
 最終日の授賞式では、登壇した伊の女優、アーシア・アルジェントが、ワインスタインにカンヌで暴行を受けたことを暴露。「もう彼がこの祭典で歓迎されることはない」と糾弾すると、大きなどよめきが起きた。