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「ハレの日市場」消失 「新日常」を切り取れ デジカメ、スタジオ…写真業界が巻き返し

キャラットが運営する「スタジオコフレ」で撮影した石橋さん家族の写真=令和2年1月(キャラット提供)
キャラットが運営する「スタジオコフレ」で撮影した石橋さん家族の写真=令和2年1月(キャラット提供)
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 新型コロナウイルス禍ででの「新日常」を被写体にするカメラや撮影サービスが広がってきた。結婚式、旅行といった「ハレの日」市場を奪われ苦境に陥ったデジタルカメラ、写真館などの写真業界が巻き返しているのだ。定番の記念写真でなく、一瞬の自然な表情を切り取り、需要を掘り起こしている。(田村慶子)

自動追尾で表情撮影

 在宅勤務で一緒に過ごすことが増えた家族の「新日常」を切り取りたい-。こうした消費者の思いにフォーカスしたカメラが飛ぶように売れ、話題を呼んでいる。

 キヤノン「PowerShot PICK(パワーショットピック)」(4万900円から)は、クラウドファンディングサイト「マクアケ」で1月に売り出し、わずか4日で購入総額が1億円に達した。同サイトの最速記録更新だ。

 「パワーショットピック」は高さ9センチ、直径6センチで約170グラムと小さくて軽く、持ち運びにも適しており、小型ロボットのような見た目で食卓や棚の上に置いても違和感のないデザインとなっている。撮影者の操作は不要で、カメラが人の顔を自動追尾で見つけ、その動きや表情からシャッターチャンスを判断して写真や動画を自動撮影する。

 人気の背景について、キヤノンマーケティングジャパンは「新型コロナ禍で自宅で過ごすようになり、家族全員の自然な表情を撮りたいという人が増えた」と説明する。

何気ないしぐさを

 デジカメやスマートフォンの普及もあって、利用が減った写真館やスタジオは経営が苦しく倒産も相次いでいる。しかし、スタジオ運営のキャラット(奈良県香芝市)は貸し切り型「スタジオコフレ」で予約待ちが出る人気ぶり。全8店舗を今年中に倍増させる。

 「客同士の接触がないこともあるが、何気ないしぐさやふとした表情を撮るのが受けている」と担当者。大阪府茨木市に住む会社経営の石橋昇士さん(33)家族は昨年1月、「コフレ」で撮ったばかりだが、撮影チャンスのある旅行や帰省を取りやめたことから、「日々成長するわが子の姿は残したい」と6月に再予約した。

 非日常感を演出する代表例は結婚写真だ。だが、コロナ禍で婚礼業のアタラヨウェディングス(名古屋市)は、新郎新婦の自然な表情を映像と写真にするサービス「ドキュメンタリーウェディング」を始めた。昨年7月に予約受け付けを始め、利用はまだ数組だが、「結婚までの道のりを振り返ることができた」など好評という。

 挙式を準備するシーンや普段着姿での新生活の様子を盛り込み、両親や友人らへの報告用に約6分の短編動画を制作するのも特色。同社は「大人数での挙式・披露宴をあきらめても、感謝を何かで形にしたいカップルは多い」と需要の底上げに期待している。

 「ハレの場」の代表選手は結婚式だ。だが近年、少子化や晩婚、ジミ婚の広がりなどで、式、披露宴のほか、新婚旅行や新婚家具、結納品などを含む「ブライダル関連市場」の規模は減少傾向にある。

 矢野経済研究所の調査によると、平成27年に2兆5480億円だった市場規模は、4年後の令和元年に2兆4171億円まで5%ほど減った。

 2年は、新型コロナウイルス感染拡大でキャンセルや延期が相次ぎ、1兆2838億円まで一気に半減の見込み。「感染拡大の間隙をぬって施行された結婚式も招待客数を抑える傾向」があり、1組当たりの単価がマイナスになった影響もあるという。

 3年はいくぶん持ち直し、市場規模は2年比2割増の1兆5300億円に達すると予測している。

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