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<独自>国内船舶の脱炭素化へ工程表 国交省策定へ

 日本国内の港を結ぶ貨物船や旅客船などの内航船について、脱炭素(カーボンニュートラル)や省エネルギーの推進に関するロードマップ(工程表)を国土交通省が策定することが19日、分かった。今夏にも公表する。菅義偉(すが・よしひで)政権が2030年度の温室効果ガス排出量を13年度比46%削減するとした公約実現への具体策として、内外に示す。

 政府関係者によると、工程表には、長期的な施策として、二酸化炭素(CO2)の排出が重油などより少ない液化天然ガス(LNG)や、CO2をほぼ出さない水素やアンモニアを燃料にした船舶の開発や運用目標の日程などを掲げる見通し。省エネ設備の導入やビッグデータの活用による運航や燃費の効率化など、30年に向けた多様な取り組みも盛り込まれる方向だ。

 海外貿易などで使われる外航船の省エネ性能については、国際海事機関(IMO)が6月にも新基準をとりまとめる予定で、船籍を置く各国政府が管理する。

 内航船が国内の運輸部門でCO2排出に占める割合は約5%だが、日本政府が独自に基準を策定できるため、国際社会に取り組みをアピールできる。

 国交省はすでに、内航船舶事業者による省エネやCO2排出量削減の対策を評価する格付制度を設け、船舶ごとに5段階評価を公表している。ただ、内航海運業は小規模事業者が多く、環境対策に向けた設備投資になかなか踏み切れないのが実態だ。

 国交省は4月、内航船の脱炭素を推進するため、有識者や業界関係者らで構成する検討会を設置し、協議を開始。ここでの議論を工程表に反映する。支援策などの予算措置につなげる。

 主に鋼材や石油製品の運搬などに使われる内航船は大型化が進み、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)によると、規模は10年6月の計約394万総トンから、20年6月には約439万総トンに増えた。

 一方、内航船は、長距離航行のフェリーや外航船に比べ、省エネ技術導入の遅れが指摘されている。例えば、長距離フェリーでは2000年代にエンジンの電子制御技術が採用されたが、内航貨物船に同様の技術が導入されたのは10年代以降で、「省エネ設計が進みにくい傾向」(JRTT)とされる。

 内航船の環境性能向上は政策次第で大きな進展が期待できるため、菅政権が掲げる技術開発による脱炭素を具体化する第一歩となる可能性がある。

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