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GDP戦後最悪 止まらぬ「日本売り」 周回遅れのコロナ対策が景気回復の足かせに

2度目の緊急事態宣言の中、多くの飲食店が休業の張り紙を出す雑居ビル=2月13日、東京・銀座
2度目の緊急事態宣言の中、多くの飲食店が休業の張り紙を出す雑居ビル=2月13日、東京・銀座

 日米欧の1~3月期の実質国内総生産(GDP)が出そろい、世界経済の二極化が鮮明だ。新型コロナウイルスの封じ込めで高い成長率を維持した米国に対し、日欧はマイナス成長だった。特に日本は3回目の緊急事態宣言発令で4~6月期も2四半期連続のマイナスが懸念され、市場では株価も為替も弱含む「日本売り」が止まらない。ワクチン接種の遅れなど、「周回遅れ」と指摘されるコロナ対策が景気回復の足かせとなる状況が続いている。

 1~3月期の実質GDP(速報値)は、米国がワクチン普及や巨額の経済対策で前期比年率6・4%増と高成長を記録。逆にワクチン接種の遅れで外出制限など対策が強化された欧州連合(EU)のユーロ圏19カ国は2・5%減と2四半期連続のマイナス成長だった。

 明暗を分けたのがワクチンだ。米バイデン政権は7月4日の独立記念日までに社会正常化に道筋を付ける目標を掲げ、ワクチン接種を完了した人にはマスク着用を原則不要とした。かたや欧州も4~6月期には接種の加速で「経済成長が再開する」(欧州中央銀行のラガルド総裁)とみられ、今月から観光客の受け入れを再開する動きもある。

 一方、接種が進まない日本は正常化に向けた行程が描けない。緊急事態宣言は16日から9都道府県に拡大し、蔓延(まんえん)防止等重点措置を含む対象地域は人口の7割に拡大。だが、十分な補償なしの自粛要請や医療体制拡充が進まないことへのいらだちから国内では“コロナ疲れ”が深刻だ。大都市圏の人出は増加傾向で、5月末に宣言を解除できるか予断を許さない。大型商業施設も休業対象になるなど3回目の宣言は規制が強く、4~6月期GDPは1~3月期より落ち込む恐れがある。

 こうした日本の足元を見るのがマーケットの「日本売り」。外国為替市場では接種が進む米ドル、英ポンド、カナダ・ドルが年初から買われているのに対し、円は売られ1ドル=109円台まで円安が進んだ。株価も米欧の上昇基調に対し、日経平均株価は18日こそ前日に大幅安だった反動で一時600円超上がったが、今春以降は下落傾向にある。円安は通常なら輸出企業の業績向上で追い風になるが、最近はプラスに働かない。

 SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストは、「繰り返される宣言で日本の内需が予想以上に落ち込む」シナリオが、市場関係者の売り材料になっていると分析する。

 政府は7月末までに重症化リスクが高い高齢者のワクチン接種完了を目指す。一般向け接種も順次始まれば「遅くとも今年10~12月期には消費の本格回復が始まる」(BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト)とも指摘される。

 ただ、欧米ではカナダが景気過熱を抑えるため4月にいち早く大規模金融緩和の縮小に踏み切り、経済の正常化が動き出した。年後半には米連邦準備制度理事会(FRB)の緩和縮小も現実味を帯びそうで、コロナ下の株高を支えた中央銀行主導のカネ余り相場は反転時期が近づく。日本がようやく正常化に踏み出したころ、市場からの荒波が冷や水を浴びせる恐れがある。(田辺裕晶)

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