ENEOSホールディングス、石炭事業からの撤退を決定 脱炭素の潮流踏まえ
石油元売り最大手ENEOS(エネオス)ホールディングスの大田勝幸社長は12日、オンラインでの決算発表記者会見で、石炭事業から撤退する方針を決めたと表明した。保有する豪州やカナダの炭鉱の権益を売却する。脱炭素の動きが世界的に広がる中で石炭ビジネスに逆風が吹いており、大田氏は「いまの石炭の環境問題に対する大きな流れなどを考えると、将来の当社のコア(中核)事業として持つ必要はないと判断した」と理由を説明した。
エネオスは前身の旧日本石油時代の昭和56年に石炭事業に参入。豪州やカナダの炭鉱の権益を持ち、共同運営や開発を手掛けるほか、年間約1千万トンの石炭を日本の電力会社などに販売している。大田氏は「当社のポートフォリオ(事業の組み合わせ)としてはそれほど大きなものではない」とし、関連資産の売却金額は「恐らく数十億円程度のレベル」との見方を示した。
大田氏は「上流(炭鉱運営)の権益の撤退と併せ、顧客の同意が得られれば販売についてもやめていく」とした。ただ、山口県の石炭中継基地で行っている輸入炭の受け入れや貯蔵、出荷業務の扱いは現在未定という。