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温暖化対策、予算ねん出も課題、「環境税」「環境債」…実現に壁も

地球温暖化対策推進本部で発言する菅義偉首相(手前)=22日午後、首相官邸(春名中撮影)
地球温暖化対策推進本部で発言する菅義偉首相(手前)=22日午後、首相官邸(春名中撮影)

 2030(令和12)年度までの温室効果ガス排出削減目標が13(平成25)年度比26%減から46%減に引き上げられ、政府は再生可能エネルギーの導入促進や電気自動車の普及加速などに向けた財源の確保にも迫られる。既に対象を環境分野に絞った増税や国債の発行案が浮上しているが、いずれも負担増を嫌う経済界や、財政悪化を避けたい財務省が巻き返しに動いており、議論が拮抗(きっこう)している。

 財務省や環境省が推進するのが増税案だ。二酸化炭素(CO2)を排出する化石燃料の利用に課税する地球温暖化対策税(温対税)の税率引き上げに加え、石油石炭税や揮発油税といった燃料の種類ごとに異なるさまざまな税目を整理し、新たな「環境税」として導入し直す案も検討される。

 日本の温対税はCO2排出量1トン当たり289円を課しているが、数千~1万数千円相当を課す欧州諸国に比べ税率が低く、引き上げ余地があるとも指摘される。ただ、経済界は税負担が増えればエネルギー価格に上乗せされ、国際競争力を損なうと主張。負担は最終的に国民に転嫁される。

 一方、官邸周辺で推進論が強いのは、使途を環境対策に絞る国債「環境債」の発行だ。国内外の投資家から資金を調達するので、環境税のように企業や個人への新たな負担は生じず、欧州などでは発行が相次ぐ。

 だが、調達した資金が実際に環境対策に使われているか不透明だとの声や、CO2削減効果を疑問視する指摘がある。また、「環境債といっても借金だ」(財務省幹部)など、財政悪化に結びつく新たな国債発行に対する警戒感も根強い。

 国際エネルギー機関(IEA)の試算では、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ1・5度以内に抑える地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の目標達成には、世界で最大8千兆円の財源が必要だ。欧州連合(EU)は今後10年間に官民で1兆ユーロ(約120兆円)、バイデン米政権も4年間で2兆ドル(約200兆円)の投資を掲げる。

 日本でも「政策の具体的な裏付けとなる中長期的な財源を考えることが必要」(野村総合研究所の木内登英氏)と指摘される。菅義偉政権は脱炭素化の研究開発支援で2兆円の基金を創設し、温対税も年間2500億円程度の税収があるが、欧米からは見劣りする。国際的な温暖化対策をリードするには削減目標を画餅にしない財源の確保が不可欠だ。(永田岳彦)

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