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ミナミ 地価下落率全国ワースト ブランド戦略の再構築を

全国の商業地最大の下落率となった老舗フグ料理店「づぼらや」の跡地周辺=大阪市中央区
全国の商業地最大の下落率となった老舗フグ料理店「づぼらや」の跡地周辺=大阪市中央区

 今年の公示地価は、全国の商業地下落率トップ10に大阪市中心部の繁華街「ミナミ」の8地点が入るショッキングな内容だった。全国ワーストは、前年比28・0%下落だった中央区道頓堀で、昨年閉店した老舗フグ料理店「づぼらや」があった地点。ミナミは近年、インバウンド(訪日外国人客)の恩恵で地価が押し上げられており、新型コロナウイルス禍でその効果が剥(はく)落(らく)したためだが、急落の要因はそれだけではない。地価を下支えする地域のブランド力が育っていないことも見逃せないからだ。(黒川信雄)

 ミナミの地価急落の要因はまず、近年のいびつな発展にある。平成21年に170万人だった大阪府へのインバウンド数は、10年後の令和元年に約7倍の1231万人まで増加。多くはショッピング目的のアジアからの観光客で、ミナミの商店街には高額の家賃を支払うドラッグストアなどがインバウンド目当てに次々と進出した。

 これがミナミの地価を押し上げたが、コロナ禍で事態は一変する。ドラッグストアをはじめ、休業・撤退する店が相次ぎ、商店街の家賃収入が激減。ミナミには海外からの投資も多く流入していたが、その流れに急ブレーキがかかったとの見方もある。

 インバウンドの消滅は京都市でも同様だが、下落率のトップ10には1地点が入っただけだった。京都市内には多くの世界遺産があり、修学旅行客も多い。さらに、居住地としても人気が高く、「土地にブランド力がある」(不動産経済研究所の笹原雪恵大阪事務所長)ためだ。ブランド力があればコロナ禍でも不動産への需要は高く、地価が下支えされる。

 大阪市内でも、オフィスなどの大規模開発が進む「キタ」と呼ばれるJR大阪駅周辺は、下落率ランキングに入らなかった。「古い飲み屋街の印象が強く、目立った開発もされてこなかった」(不動産業界関係者)ミナミとの差異は鮮明だ。

 ただ食や文化などミナミの魅力が失われたわけではなく、令和7年には万博が開かれるなど、観光客の増加が確実視される機会も控えている。コロナ禍のこのタイミングを捉え、地域のブランド戦略を構築、実行することが行政や地元関係者に求められている。

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