PR

ニュース 経済

関西国際空港民営化5年 国際線成長もコロナで岐路に 

 関西国際空港と大阪(伊丹)空港は1日、平成28年4月に民営化されてから5年を迎える。関空の国際線旅客数はインバウンド(訪日外国人客)急増の波に乗り成長を続けたが、昨年以降は新型コロナウイルスの影響で激減、回復の見通しは立たない。民営化以来の順風は逆風に転じ、運営は岐路に立たされた。今こそ民間の知恵が求められている。  (牛島要平)

業務のやり方が変わった

 5年前の28年4月1日、関空と伊丹空港の運営権が、国が出資する新関西国際空港会社(新関空会社)から、オリックスと仏空港運営大手バンシ・エアポートなどが出資する関西エアポートに譲渡された。国が各地で進める空港運営権の民間譲渡のさきがけとなった。

 「作成する資料の分かりやすさや情報管理の徹底など、業務が民営化前とは大きく変わった」。新関空会社から関西エアへの移行時期をよく知る関係者はそう振り返る。

 6年、大阪湾の泉州沖に開港した関空は開業後20年近く、埋め立て工事による多額の負債に苦しめられ続けた。国が関空と伊丹の統合、民営化を進めた経緯には「関空の負債を羽田便というドル箱を持つ伊丹の収益で肩代わりする」との構想があった。

インバウンドに支えられた民営化

 潮目が変わったのは格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションが関空に就航した24年。そのころ政府が、国家間での取り決めの必要なく就航や便数を決められる航空自由化に踏み切ったこともあり、インバウンドが急増した。

 28年の民営化後はLCC専用の国際線ターミナルの供用を開始するなど、積極投資を加速。令和元年には関空の総旅客数は約3192万人を達成。さらに国際線旅客の受け入れ能力を4千万人に引き上げるための改修計画を立て、今年6月に着工する予定だ。

 ところが、インバウンドにより活況を呈していた関空は昨年、未曽有の事態に陥った。国際線旅客はほぼ「消失」し、昨年の総旅客数は前年比79%減の約656万人にとどまっている。インバウンド頼みの“一本足打法”に今、疑問が投げかけられている。

防災面での課題も浮上

 また、民営化5年の間には、防災上の問題もあぶり出された。平成30年9月の台風21号では関空と対岸を結ぶ連絡橋にタンカーが衝突、滑走路とターミナルに浸水して停電が発生し、一時は利用客ら約8千人が取り残された。民営化前から使われていた事業継続計画(BCP)には、停電や連絡橋の閉鎖は想定されていなかった。

 関西エアは翌年、新しいBCPを策定し、あらゆる状況ごとに対応を明確化。護岸のかさ上げや電源設備の地上化も進め、全体の防災工事は令和4年秋頃に終わる予定だ。

 航空会社や空港の運営に詳しい関西学院大の野村宗訓教授は民営化5年について「関空、伊丹はこの5年で利用者目線のサービスがかなり増えてきたが、早期の国際線の復活はなかなか厳しい状況だ。競争力のある関空の貨物事業への注力や、伊丹での新しい地方路線の拡充も検討すべきだ」と指摘している。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ