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公示地価 大阪・ミナミ、インバウンド蒸発で地価急落 ブランド力の強化課題

全国で最悪の下落率を記録したづぼらやの跡地周辺=大阪市中央区(須谷友郁撮影)
全国で最悪の下落率を記録したづぼらやの跡地周辺=大阪市中央区(須谷友郁撮影)

 令和3年の公示地価では全国の商業地下落率トップ10に大阪市中心部の繁華街「ミナミ」から8地点が入る結果となった。近年、ミナミは国内のほかの地域よりインバウンド(訪日外国人客)の恩恵が大きく地価が急上昇。だが、新型コロナウイルス禍でインバウンドが“蒸発”し、地価は急落した。京都市などと異なり、地価を下支えするブランド力が育っていないことも急落の背景にある。(黒川信雄)

 「訪日客を当て込んだ店舗ばかりが増えれば、コロナ禍で地価が下落するのは当然だ」

 ミナミの戎橋(えびすばし)筋商店街振興組合、菊地正吾理事長は、近年の街のいびつな発展に地価急落の原因があるとみる。

 大阪観光局によれば、平成21年に170万人だった大阪府へのインバウンドの数は、10年後の令和元年に約7倍の1231万人まで増加。多くはショッピングなどが目的の東アジアからの観光客で、ミナミの商店街には、高額の家賃を支払うドラッグストアなどがインバウンド目当てに次々と進出した。

 そもそも商業地の地価は「実際の不動産市場の売買価格」「対象地点でのビルの家賃収入といった収益力」から計算される。ドラッグストアなどからの高い家賃収入でミナミの地価は急上昇。たとえばミナミの中心地で、インバウンドが多く訪れた旧クリサス心斎橋(現住友商事心斎橋ビル)は、平成29年に前年比35・1%、30年に同22・5%上昇している。

 しかし、コロナ禍でドラッグストアをはじめ休業・撤退する店が相次いだことから家賃収入が激減し収益力が落ちて地価が急落した。

 インバウンド消滅の影響は近隣の京都市でも見られたが、下落率のトップ10に1カ所入ったのみで、ミナミほどの悪影響はなかった。

 多くの世界遺産がある京都市は住む場所としても人気が高く、ミナミと違い「土地にブランド力がある」(不動産経済研究所の笹原雪恵大阪事務所長)。ブランド力があればコロナ禍でも不動産を買いたい人がいて地価が下支えされる。

 大阪市でも「キタ」と呼ばれるJR大阪駅周辺は下落率ランキングに入らなかった。ミナミと異なりオフィスなどの大規模開発が進み、インバウンドに左右されない体力のある企業が入居して高い家賃を払い続けているからだ。「歓楽街で、大きな投資もなされてこなった」(不動産経済研究所の笹原氏)ミナミとは事情が異なる。

 ただ、今月中旬には、ミナミに隣接する御堂筋沿いに米国の最高級ホテル「W Osaka(ダブリューオオサカ)」が開業するなど、がオープンするなどコロナ後をにらむ動きも出始めた。不動産サービス大手ジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)の山口武リサーチディレクターは「コロナ禍でインバウンドが消えても、ミナミの魅力自体が失われたわけではない」と強調する。

 令和7年に万博が開かれるなど、大阪にはインバウンド増加が確実な機会もある。不動産経済研究所の笹原氏は「(さまざまな機会を生かすため)ミナミは発展計画を練り直すべきだ」と主張している。

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