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【主張】春闘回答 賃上げの流れを止めるな

 今年の春闘交渉の一斉回答は新型コロナウイルス禍の収束が見通せない中で、基本給を底上げするベースアップ(ベア)を見送る動きが強まり、働く人たちにとって厳しい結果となった。

 在宅勤務の拡大で業績が比較的堅調に推移した大手電機はそろってベアを獲得したが、春闘相場の牽引(けんいん)役を務めてきた自動車各社は横並びが崩れた。

 コロナ禍で業績が悪化している航空や鉄道などでも厳しい回答が出ている。

 ここ数年、政府が経営側に賃上げを求める「官製春闘」で賃上げ率は2%台を確保してきたが、今年はこれまでの賃上げ水準を下回る見通しだ。それでは個人消費の活性化は期待できない。

 新型コロナで業績が厳しいのは理解できるが、優秀な人材を獲得するためにも着実な賃上げの継続は欠かせないはずだ。賃上げの流れを止めないためにも、労使連携で生産性の向上を図るなどの取り組みが求められる。

 今年の春闘交渉では、新型コロナによる先行き不透明感から、自動車や造船重機でベア自体の要求を見送る労組が相次いだ。

 その中でトヨタ自動車は定期昇給を含めた賃上げ総額を前年より増やして月額平均9200円とするなど、例年以上に業界内の業績格差が鮮明となった。

 トヨタはベアの有無について公表しなかったが、各労組とも賃金以外の経営課題について議論を深める傾向が出ている。子育てや介護に対する手当を用意するなど、従業員の家庭事情に応じたきめ細かな労働環境の整備を労使で進める契機としたい。

 従来のような業界横並びの交渉も早急な見直しが求められる。

 業界全体で賃金水準を引き上げることを目指してきたが、個別企業の事業形態が大きく変化している中で、業界横並びの交渉では経営体力のある企業の賃上げに水を差しかねない。

 春闘交渉の不調で、大手企業の賃上げが低くとどまれば、中小企業への影響も避けられない。それでは日本経済の底上げにはつながらない。

 人材投資の観点からも着実な賃上げは不可欠だ。従業員が賃上げを実感できるベアの重要性に変わりはない。この認識を労使で共有し、今後の交渉に生かすことが何より重要である。

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