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景気の潮目「上方」変化 実感伴わぬ回復、コロナ禍で二極化深刻に

 緊急事態宣言下の日本経済で潮目が変わり始めた。内閣府が8日発表した1月の景気動向指数は、製造業の堅調な生産や輸出を背景に、基調判断を「下げ止まり」から「上方への局面変化」へ5カ月ぶりに上方修正。2月の街角景気も大幅に改善した。ただ、飲食店などのサービス業は持ち直しが遅れ、経済の二極化は深刻さを増している。このまま“弱者”置き去りの回復が進むのか、政府の対応が問われそうだ。

 景気動向指数は、景気の転換点(山と谷)を把握するため複数の経済指標の動向をもとに毎月算出する。

 現状を示す一致指数(平成27年=100、速報値)は前月比3・5ポイント上昇の91・7となり、3カ月ぶりに改善した。宣言下でも、外需回復に伴い半導体や自動車といった製造業の輸出・生産は持ち直しが続いた。

 基調判断の「上方への局面変化」は、景気が最も悪かった時点(谷)が数カ月前にあった可能性が高いことを示す表現だ。1回目の宣言が解除された昨年5月前後を底に、景気が拡張局面に転じたことを示唆している。

 一方、同日発表の2月の景気ウオッチャー調査も街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整値)が前月比10・1ポイント上昇の41・3と4カ月ぶりに改善した。新規感染者の減少傾向に加え、調査期間中(2月25~28日)に関西や中部など首都圏以外の宣言解除が決まったことが影響し、過去3番目の上げ幅を記録した。

 とはいえ、宣言が続く首都圏では「以前なら予約が取れない店でも、客がゼロのことがある」(東京都の居酒屋経営者)など、サービス業は需要蒸発で悲痛な声を上げる。飲食関連の指数も16・5ポイント上昇の31・6と4カ月ぶりに改善したものの、好不況の境である50を大幅に下回ったままだ。

 景気判断と街角の実感が必ずしも一致しないのは、景気動向指数(一致指数)を構成する経済指標が「製造業関連に偏り過ぎ」(第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト)ていることも一因だ。コロナ禍の特徴である、製造業と非製造業の二極化を十分捕捉できていないとも指摘される。

 コロナ感染者は、ワクチン接種の開始後も増減を繰り返す可能性がある。感染防止と経済活動の再開を両立しながら、回復から取り残された産業を下支えできるかが今年の課題だ。景気が拡張局面入りしたからといって消費刺激策を怠るようなことがあれば、経済の回復が遠のく恐れがある。(田辺裕晶)

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