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米欧で物価上昇の兆し 金融政策に影響なら市場のリスク要因に

総務省=東京都千代田区
総務省=東京都千代田区

 米欧で物価上昇の兆しが出ている。新型コロナウイルスの感染拡大後に企業が生産規模を急速に縮小した反動で、「巣ごもり消費」を含む代替需要の増加に供給力が追い付かないことが原因とみられる。消費が弱い日本では物価が下落するデフレ傾向が続くが、米欧がインフレになれば好調な株式市場を牽引(けんいん)する中央銀行の大規模な金融緩和を抑制するため、世界経済のリスク要因になりかねない。

 コロナ禍は外食など対面型のサービス消費を落ち込ませたが、先進各国の大規模な景気対策に伴い家電や自動車といった消費は急速に回復。みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは、感染拡大当初に企業が過度な悲観から猛烈な減産を進めたものの、「予想外の出荷の回復で在庫の払底に直面した」と指摘する。

 こうした供給面での制約に加え、原油価格がワクチンの普及に伴う景気回復期待からコロナ流行前の水準に回復したこともあり、米欧の物価は上昇し始めた。1月の消費者物価指数は、米国が前年同月比で1・4%上昇、ユーロ圏19カ国は0・9%上昇して6カ月ぶりに前年水準を上回った。

 一方、総務省が19日発表した日本の1月の全国消費者物指数(生鮮食品除く)は、昨年の原油安が時間差で反映され電気・ガス代が低下した影響で、前年同月比0・6%下落した。前年を下回るのは6カ月連続。ただ、観光支援事業「Go To トラベル」の停止で宿泊料の低下は軽減し、下落幅は4カ月ぶりに縮小した。

 これに対し、農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「物価が底堅いとみるのは早計だ」と指摘する。巣ごもり消費で生活家電など耐久消費財の購入は増えたが、価格の上昇圧力は強まっていない。日本ではコロナの重症化リスクが高いシニア層に資産が集中しているため消費が活性化しづらく、「年内は物価の下落傾向が続く」と分析する。

 だが、米欧がインフレになれば日本も影響を受ける。物価上昇は、大規模緩和と財政出動に伴う「カネ余り」の効果で景気が持ち直しから回復局面に入ってきたことの裏表だ。世界の金融市場を左右する米連邦準備制度理事会(FRB)が政策引き締めにかじを切れば、活況が続く株価の反転は避けられない。たとえFRBが政策変更に慎重でも、市場関係者が“宴(うたげ)”の終わりを意識すれば売りが加速する。今後は物価の動向に注目が集まりそうだ。(田辺裕晶)

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