富士山登山鉄道、政府が支援態勢 山梨知事が明かす
富士山の山梨県側の麓と5合目を結ぶ富士山登山鉄道構想が8日、県の検討会(会長・御手洗冨士夫経団連名誉会長)総会で了承されたことを受け、長崎幸太郎知事は総会後、記者団に、政府からオールジャパンの支援態勢を作るとの申し出があったと明らかにした。関係者によると、内閣官房にチームを作るとの説明があったという。
富士山登山鉄道構想は長崎知事が令和元年の知事選で「検討」を公約に掲げ、同年7月から検討会が実現可能性を議論してきた。知事は安倍晋三政権時代に、構想の検討は官邸の意向と述べていた。
長崎知事は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)と意思疎通を図るとともに、近く静岡県庁に川勝平太知事を訪ね、構想の趣旨を説明する考えを示した。
国会内で開かれた検討会総会には、理事の岩村敬・元国土交通事務次官ら6人と長崎知事が出席。顧問の日枝久フジサンケイグループ代表と委員の計15人がオンラインで参加した。
構想は、有料道路「富士スバルライン」に次世代型路面電車(LRT)を走らせるとしている。坂井究(きわむ)・JR東日本常務は「LRTについての知見はないが、可能な限りで協力したい」と表明した。
日枝氏は「鉄道だけでなく、河口湖や山中湖など周辺地域も環境を壊さずに、一緒に大きな観光資源にしてほしい」と要望。松浦晃一郎・元ユネスコ事務局長は「世界文化遺産の富士山は静岡側も含めて25の構成資産がある。静岡県も巻き込む必要がある」と応じた。