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創業70年の味が消える…埼玉の洋食店「キムラヤ」閉店

洋食屋「キムラヤ」=29日午後、さいたま市浦和区(竹之内秀介撮影)
洋食屋「キムラヤ」=29日午後、さいたま市浦和区(竹之内秀介撮影)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響が創業70年の老舗洋食店にも及んでいる。JR北浦和駅近くの「キムラヤ」(さいたま市浦和区)が31日に閉店を迎えた。コロナ禍による売り上げ減少や高齢化が重なり、店を畳むことを決断した。地元に愛されてきた昭和レトロの味がまた一つ消える。

 昭和25年にオープンしたキムラヤは3代目店主の藤井康弘さん(53)の祖父が創業した。戦前に「銀座木村屋総本店」で修業したことから、店名にキムラヤと名付けたという。

 オムライスやカツカレーといった洋食に加えて、丼物や麺類もあり、豊富なメニューで愛されてきた。キムラヤの優しい味を求めて都内から訪れる人も少なくなく、親子3代で足しげく通う客もいた。

 現在は康弘さんと母の幸子さん(80)が店を切り盛りしているが、昨年4月の緊急事態宣言の発令以降、客足が急に落ち込み、店の経営を直撃した。康弘さんは「最近は利益を出すのがギリギリで税金の支払いも厳しくなっていた」と苦境を打ち明ける。

 さらに調理を担当する幸子さんが高齢で調理場に立つのが厳しくなってきたため、閉店を決断した。康弘さんは「自分の代で閉じるのは残念だが、これまでたくさんの方に支えられてきた。感謝しかない」と話す。

 店の近くに住み、小学生の頃から60年以上も通ってきた藤森英明さん(72)は「思い出の味がなくなるのは寂しい。息子も、いつものカレーライスが食べられなくなるのを惜しんでいる」と残念そうに語る。

 県内では新型コロナウイルスの感染拡大が長期化し、キムラヤのように地元で親しまれてきた飲食店の閉店が目立っている。

 東京商工リサーチ埼玉支店の吉野祐介チームリーダーは、新型コロナウイルスの収束の見通しが見えず、政府や自治体の給付金がいつまで続くのか分からないことが背景にあると分析し、「これから家族経営の街の食堂などが余力を残して黒字廃業するケースが増えるのではないか」と予測する。

(竹之内秀介)

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