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英が譲歩、FTA合意 コロナ変異種による混乱拡大を回避

24日、ロンドンの英首相官邸前で、EUとの交渉妥結をにらみ待ち構えるメディア関係者ら(ロイター)
24日、ロンドンの英首相官邸前で、EUとの交渉妥結をにらみ待ち構えるメディア関係者ら(ロイター)

 【ロンドン=板東和正】英国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)交渉が合意したのは、最大の課題だった「英周辺海域での漁業権」をめぐって英国が譲歩したためだ。漁業権は英国がEU離脱で回復を目指す「主権」に関わる問題であり、ジョンソン英政権にとって妥協したくない分野だった。しかし、新型コロナウイルス変異種の感染拡大で物流に多大な影響が生じる中、交渉の破談によるさらなる混乱を防ぐために英国はEUとの合意を急いだとみられる。

 EUの共通漁業政策の下では、EU加盟国は割り当てられた漁獲上限を守れば、他国の排他的経済水域(EEZ)でも漁ができる。EU離脱を主導したジョンソン政権は漁業権をEUからの「主権回復」の象徴と位置付け、自国による英周辺海域の管理を強化することを狙っていた。

 このため、英国は交渉で、英EUが従来の経済関係を保つ「移行期間」の今年末の終了後、海域での加盟国の従来の漁獲量を数年間で約35%削減する方針を要求。漁獲量を大幅に減らしたくないEUは25%を上回る削減を拒んでいた。

 平行線をたどる交渉が大きく変化したきっかけは、英国で新型コロナ変異種の感染拡大が発覚し、欧州など50以上の国・地域が22日までに英国からの入国・入域制限を決めたことだ。英メディアによると、英国側は22日頃、「漁業権の協議で大幅に譲歩した」(フランスの政府関係者)。

 英与党・保守党の元議員は「変異種による影響を目の当たりにしたジョンソン政権は、混乱に拍車をかける事態を回避することを最優先と考え、妥協する姿勢に転じた」と分析する。

 変異種を警戒したフランス政府が英国からの渡航を停止した問題では、英仏海峡の英側にあるドーバー港周辺でトラックの渋滞が発生。往来の停滞で食料品や日用品が供給不足になることへの不安が英国内で高まり、各地で買い占めが起きた。FTA交渉が決裂すれば、英EU間で来年1月から関税が復活し、国境での煩雑な通関手続きで物流や市民の生活に対する支障になると予想されていた。

 米次期大統領就任を確実にしたバイデン前副大統領の存在も、ジョンソン政権が交渉姿勢を軟化させる要因になったとみられる。バイデン氏はEUとの関係を重視しており、合意を得られなければ英米関係への悪影響が懸念されていた。

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