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【予算案】中長期戦略に偏重 危機克服へ戦略欠いたスガノミクス

首相官邸(宮崎瑞穂撮影)
首相官邸(宮崎瑞穂撮影)
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 21日閣議決定した令和3年度予算案は一体編成した2年度第3次補正予算案とともに菅義偉首相の意向を色濃く反映し、新型コロナウイルス収束後を見据えた中長期的な成長戦略に重点配分した。ただ、肝心のコロナ対応では詰めが甘くなり、感染「第3波」の急拡大で景気は2番底を余儀なくされる可能性も指摘される。危機下の内閣として、優先順位の判断に誤りはなかったのか。年度末に向け倒産や失業が増加すれば禍根を残す恐れがある。

 「規模ありきで補正に入れる必要がないような事業が盛り込まれた上、本来必要な危機対応は不十分だ」

 ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは今回の「15カ月予算」編成について、こう指摘する。

 3年度予算に3次補正を加えた一般会計総額は122兆円超。3年度予算はコロナ予備費を除けば前年度当初とほぼ同水準で、肥大化の主因は3次補正でコロナ後の経済構造の転換に充てた11兆6766億円だ。

 積年の課題であるデジタル化の遅れを解消し、世界的潮流の脱炭素化に対応する方向性は正しい。ただ、コロナで疲弊した経済の立て直しへ歳出圧力を強める与党の動きも後押しし、予算要求が集中。農地の更なる大区画化(188億円)や子供の運動機会創出の支援(58億円)など、「国民の命と暮らしを守る」ため編成した3次補正の中には、緊急性があるか微妙な事業も盛り込まれた。

 「スガノミクス」の成長戦略に霞が関がひた走る中で、足元の“地雷”は見過ごされた。冬場にコロナの感染力が強まる可能性は以前から指摘されていたにも関わらず、2次補正までに積んだコロナ予備費11兆5千億円のうち活用したのは4兆6076億円(11日時点)にとどまり、年末に再び医療崩壊が懸念される状況に陥った。3次補正の編成作業が進む中、政府内の一部には「財源を出し惜しみしているのでは」と勘繰る声もあった。

 農林中金総合研究所は、実質国内総生産(GDP)成長率は感染再拡大で来年1~3月期に再び前期比年率0・1%減のマイナス成長に陥ると試算する。ワクチン接種が始まる春まであと一息。危機を乗り越えるため今の暮らしを守る対策が必要だ。(田辺裕晶)

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