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産業界も排出量実質ゼロへ 脱炭素化で技術やインフラに課題も

臨時閣議に臨む(左から)橋本聖子五輪担当相、赤羽一嘉国交相、茂木敏充外務相、菅義偉首相、麻生太郎副総理兼財務相、河野太郎行政改革担当相、田村憲久厚労相=15日午後、首相官邸(春名中撮影)
臨時閣議に臨む(左から)橋本聖子五輪担当相、赤羽一嘉国交相、茂木敏充外務相、菅義偉首相、麻生太郎副総理兼財務相、河野太郎行政改革担当相、田村憲久厚労相=15日午後、首相官邸(春名中撮影)

 菅義偉政権が2050年までの脱炭素化を打ち出す中、産業界でも排出量削減の取り組みが加速している。火力発電で多くの二酸化炭素(CO2)を排出する電力業界や、原料に石炭を使う鉄鋼業界などでも新たな目標設定が始まった。ただし目標の達成には技術面やインフラ整備面での課題もあり、公的な支援を求める声も上がっている。

 「50年時点で国内外の事業から排出されるCO2の実質ゼロに挑戦する」

 東京電力ホールディングス(HD)と中部電力が共同出資する発電会社「JERA(ジェラ)」は10月、CO2削減の流れを受けて高い目標を設定した。

 石炭や液化天然ガス(LNG)などによる火力発電はCO2排出が不可避だが、アンモニアや水素といったCO2を出さない燃料の導入などで目標達成を目指す。小野田聡社長は「自ら主体的に脱炭素技術の開発に取り組むとともに、経済合理性を確保すべく努力を重ねたい」と意欲的だ。

 日本航空も6月、50年にCO2排出量実質ゼロを目指す方針を表明。国際航空運送協会(IATA)が示す50年に排出量半減という目標を上回る水準で、赤坂祐二社長は「高い目標を達成する世界初のエアラインになる」と宣言する。また海運大手の日本郵船は50年に温室効果ガス排出量を15年比50%削減する方針。今年完成したLNGを燃料とする自動車専用船は重油を用いる船よりCO2排出量を約40%削減できるという。

 工場などの産業部門でも脱炭素化が進む。鉄鋼大手のJFEHDは9月、グループの鉄鋼事業で30年度のCO2排出量を13年度比で20%以上減らすことを決定。鉄鋼事業会社、JFEスチールの北野嘉久社長は「欧州のメーカーを中心に脱炭素化への対応が活発になっている。当社もしっかり対応していく」と話す。

 自動車業界ではトヨタ自動車が25年に世界で販売する新車の半分相当を電動車とする目標を掲げた。水素を使って発電する燃料電池車(FCV)の技術の他社への供給も視野に入れており、前田昌彦執行役員は「競争している場合ではなく、カーボンニュートラルに向けて協調しないといけない」とする。ホンダは30年に世界販売の3分の2を電動車に、日産自動車も23年度に国内での電動車販売比率を6割にする方針だ。

 ただし脱炭素化は企業活動を揺るがす側面もある。東芝は11月、石炭火力発電所の新規受注の停止と建設からの撤退を発表。車谷暢昭社長は「世界的にエネルギー分野でのパラダイムシフトが起こる。石炭火力の案件自体がなくなってきている」と説明する。

 また企業には高い目標への不安もある。鉄鋼メーカーは水素を使った製鉄法も開発中でCO2排出量の大幅削減が期待されるが、実用化時期は早くても30年以降。水素供給インフラの整備をはじめ技術以外の課題も多い。日本製鉄幹部はCO2排出量削減は「当然」としながらも、「鉄鋼業界だけで解決できるものではない。(政府などを含む)全体でコストや支援を考えてほしい」と訴える。

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