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「世界4冠」連覇の富岳 コロナ克服へ威力

 新型スーパーコンピューター「富岳(ふがく)」がスーパーコンピューターの性能を競う4つの世界ランキングを2期連続で制した。複数の部門で高い性能を示したことは、社会のさまざまな課題の解決に貢献する実用的な計算をバランス良くできることを意味している。実際、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの克服に向け、成果を上げつつある。

 富岳が制したのは、高速の計算を安定して実行できる総合的な性能を示す「TOP500」のほか、自動車の設計などで行うシミュレーション(模擬実験)の処理性能を主に測る「HPCG」▽人工知能(AI)の学習向け計算の指標である「HPL-AI」▽道路網などネットワークで表現される現象やビッグデータの解析性能を示す「Graph500」-の計4部門。いずれも2位に3~5・5倍の大差をつけた。

 オンラインで会見した理化学研究所計算科学研究センター長の松岡聡氏によると、富岳は、科学研究や産業利用でよく用いられるソフトウエアを使ったとき、その性能を最大限に引き出すことを目指して設計された。

 松岡氏は会見で「1位を取ることが開発目標ではなかったが、取れたことには非常に意味がある」と説明したが、それは富岳の実用性の高さを証明したからだ。松岡氏は「富岳の開発目標を満たした証である」とも語った。

 実用性の高さはすでに発揮されつつある。

 富岳は来年度の本格稼働を予定しているが、新型コロナ関連の研究で今年4月から先行して利用をスタート。産官学が協力して人類がコロナ禍を乗り越える方策を多角的に探っている。

 例えば、神戸大教授で理研チームリーダーの坪倉誠氏らは、せきによる飛沫(ひまつ)の飛び方やマスクやフェイスガードの効果などをシミュレーションで調べている。この研究ではHPCGで測れるような大規模計算が威力を発揮。会食の際はどういった席の配置がいいのかなども情報提供している。

 また、京都大の奥野恭史教授は、約2千種の既存薬について新型ウイルスへの作用をシミュレーションした。この際の計算にはHPL-AIの指標で示されるのと似た計算を応用。複数の有望な治療薬候補を発見した。

 このほか、ウイルスが細胞に侵入して増殖するとき、タンパク質がどのように作用しているのかを解析したり、感染拡大が社会経済にどのような影響が及ぶかを予測したりする研究も進む。

 10月からはソフトウエアの動作確認や調整を目的として、新型コロナ以外のテーマでも富岳を試行的に使ってもらう取り組みが始まった。実社会の課題解決につながる富岳の性能への期待は高まっている。

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