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蓄電池で家庭の電気が変わる!

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Tesla Powerwall 出典)Tesla
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 最近、家庭用蓄電池を買った。前から気にはなっていたのだが、やはり災害のニュースを聞くたびに、電気の大切さをひしひしと感じていたからだ。

 実際、蓄電池のニュースを良く新聞で読むようになった。一般社団法人日本電機工業会によると、会員企業における定置用リチウムイオン蓄電システムの出荷台数はここ5年で3倍も伸びている。特に2019年度は出荷台数を大きく伸ばし、前年比156%となった。

出典)一般社団法人日本電機工業会
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 矢野経済研究所の調査によれば、定置用蓄電池の世界市場規模が2026年までに2019年の約8.5倍にまで成長すると見込まれている。

 国内だけでなく世界中で普及が進む蓄電池。今回は家庭用蓄電池について取り上げる。

家庭用蓄電池のメリット

 家庭用蓄電池を導入するメリットは大きく2つある。

 1つ目は、災害・停電時に非常用電源として使用できる点だ。

 2019年の台風15号では、暴風雨によって2000本近くの電柱が損壊し、千葉県を中心に最大約93万戸で停電が発生した。道路は寸断され、行政は広範囲に及んだ被害状況の把握に時間がかかった。復旧作業に全国の電力事業者が千葉県に集結したものの、復旧に1か月以上かかった地域もあった。

台風15号による設備被害の様子 出典)東京電力ホールディングス株式会社
台風15号による設備被害の様子 出典)東京電力ホールディングス株式会社
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 こうした非常時に最低限の電源を確保できることから、家庭用蓄電池を購入する人が増えたと思われる。

 2つ目は電気料金を安く抑えることができる点だ。

 電力会社の多くは、使用量の多い昼間の料金単価を高く、逆に使用量の少ない夜間の料金単価を安く設定している。

 例えば中部電力ミライズは、22時~翌朝8時までの「ナイトタイム」に料金単価を大幅に抑えた料金プラン「スマートライフプラン」を提供している。

出典)中部電力ミライズ株式会社
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 料金が安い夜間、蓄電池に電気を貯め昼間に使用すれば、電気料金を節約できる。さらに自宅に太陽光パネルを設置している場合は、昼間に発電した電気の余剰分を蓄電池に貯め、夜間に使用することで自家発電の割合を増やすこともできる。

 家庭用太陽光発電を巡っては、2019年11月から順次FIT(固定価格買取制度)による電力買取期間が終了する、いわゆる「卒FIT」後の余剰電力の使い道が問題となっている。こうした家庭にとって、自家発電の割合を増加させる家庭用蓄電池は大きな注目を集めている。

 国や地方自治体も家庭用蓄電池の普及に前向きで、補助金の導入を進めている。

 例えば、国は昨年度から今年にかけて、「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」として、太陽光発電システムを持つ住宅を対象に家庭用蓄電池の費用助成を決めた。

 エネルギー供給源を分散することで、災害による大規模停電の被害・リスクを抑えることが目的だ。既に申請期間は終了しているが、10月7日時点で約1万6000件、総額およそ32億円の補助金交付を行っている。

 また東京都は家庭における電気の自家消費の増大や非常時のエネルギー自立性の向上を目的に、家庭用蓄電池の設置費用を補助する制度「自家消費プラン」の申請を受け付けている。こちらも太陽光発電システムを持つ住宅が対象で、60万円を限度に設置費用の半分が助成される。

最新家庭用蓄電池

 こうした中、家庭用蓄電池市場に衝撃が走った。アメリカのEV(電気自動車)専業メーカー、テスラが日本市場に参入してきたのだ。それも衝撃的な価格設定で。

 テスラが2020年春から販売を開始し始めた家庭用蓄電池「Powerwall」は、大容量ながら蓄電池本体を含むシステム全体の価格が税別99万円と、100万円を切る思い切った価格設定だった。

 住宅に設置した太陽光発電システムと連携した充放電制御も可能で、発電状況や蓄電池の充放電量などの確認、発電した電力を自家消費優先で利用するといった制御の切り替えなどは、全て専用のスマートフォンアプリから行える。

テスラ家庭用蓄電池「Powerwall」 出典)Tesla
テスラ家庭用蓄電池「Powerwall」 出典)Tesla
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 テスラの参入もあり、国内メーカーは続々と新製品を投入し始めた。

 電力小売事業などを手がける「Looop」は太陽光発電向けの小型蓄電池「エネブロック」を10月1日に発売。

 従来製品よりも体積を3割カットしたことで、クローゼットの中や天井裏など屋内の設置も可能になり、デッドスペースを活用できる。

出典)株式会社Looop
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 製品1個の蓄電容量は2.4kWhで、最大6個まで設置できる。家庭の発電状況に合わせて、最適な蓄電容量に調整でき、一般家庭への普及が期待できそうだ。

出典)株式会社Looop
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 パナソニックは、2020年8月に住宅用リチウムイオン蓄電システムの新製品を発表した。災害時の使用を想定して耐震性を強化したほか、スマートフォンやタブレットを直接充電できるUSBコンセントを搭載している。2021年1月から受注を開始する予定だ。

パナソニック家庭用蓄電池 出典)パナソニック株式会社
パナソニック家庭用蓄電池 出典)パナソニック株式会社
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デマンドレスポンス

 「デマンドレスポンス」(Demand Response)という考え方に注目が集まっている。

 デマンドレスポンスとは、電力系統の状況に合せて、電気の利用者が電気の消費パターンを変化させることを指す。現在の技術では大量の電気を貯めることができない。そのため電力会社は、担当地域の需要量と供給量のバランスを保ち、周波数が一定となるよう、発電量(供給量)を調整している。さらに、天候により発電量が変動する太陽光発電や風力発電が一定量を占めるようになった電力系統において、これらの電源を最大限活用するために供給側だけではなく需要側も調整することで、きめ細やかに需給バランスを調整しようとするものだ。

出典)経済産業省資源エネルギー庁
出典)経済産業省資源エネルギー庁
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 こうした中、中部電力ミライズとデンソーは、2019年2月から、電力需要に合わせて契約家庭の蓄電池や電気機器をHEMS(ヘムス)というシステムを通じて遠隔操作する、デマンドレスポンスサービス「CO-エネ」を提供している。

 HEMS(Home Energy Management System)とは、家電と蓄電池を含めた電気設備を連携させることで、家庭で使うエネルギーを最適化するシステムだ。

 例えば、夏のピーク時に電力需要が高まった場合、契約家庭のHEMSを通じてエアコンの設定温度を自動で1度上昇させたり、蓄電池の放電を行ったりすることで電気使用量の削減につなげる。反対に太陽光発電の発電量が多い時間帯には、エコキュート(電気給湯器)の稼働時間をシフトさせることで、太陽光発電の稼働率を向上させる。

出典)中部電力
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 発電効率の向上に加えて、再生可能エネルギーの利用を拡大させ、環境負荷を低減させることが期待される。

 自動制御による電力調整に応じた世帯は、応じた時間に合わせた料金の割引を受けることができるので、電力会社と契約者双方にメリットをもたらす新しい取り組みだ。

 また、これまでコントロール対象の機器は、全館空調とエコキュートの2種類だったが、2020年1月より、蓄電池やV2H(Vehicle to Home)充放電器を追加している。V2Hとは電気自動車(EV・PHEV/PHV)を充電するだけではなく、貯めた電気を家庭で使用する仕組みのことをいう。

対象機器拡大の概要 出典)中部電力
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EVのバッテリーから家に給電しているイメージ 出典)日産自動車
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 持続可能な社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの注目が高まっている。太陽光発電や風力発電は時間や天候によって発電量にばらつきが出るため、自家発電では余剰電力を貯める蓄電池とセットで使用するケースが増えている。

 再生可能エネルギーの活用が求められる今、家庭用蓄電池の普及は今後も進むことが見込まれる。

 蓄電池の普及が進めば、家庭単位で行われているHEMSなどによるエネルギー管理システムが、将来的には地域、さらには都市レベルにまで広がる。より環境に優しく、より便利な暮らしの実現に向けて、家庭用蓄電池は更に注目を集めそうだ。(エネルギーフロントライン編集長・安倍宏行)

提供:中部電力株式会社

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