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RCEP署名 インド復帰にらみ始動する巨大経済圏 TPPとの重複解消カギ

RCEPの首脳会合を終え、記者団の取材に答える梶山経産相=15日午後、首相官邸
RCEPの首脳会合を終え、記者団の取材に答える梶山経産相=15日午後、首相官邸

 地域的な包括的経済連携(RCEP)交渉は15日、インドを除く15カ国の枠組みでまとまった。インドを通じて中国の影響力拡大を抑え込みたい日本は、インドを含む16カ国での署名を目指したが、交渉の席に引き戻すことはできなかった。特例措置でインド復帰の可能性を残しつつ、15カ国による新たな巨大経済圏が動き出す。

 インドは昨年11月の首脳会合で離脱を表明して以降、交渉の舞台から遠ざかってきた。RCEP交渉国11カ国に対して貿易赤字を抱え、特に対中貿易赤字は2019年時点で約487億ドル(約5兆1千億円)と巨額。RCEPへの参加により中国などからの輸入増大を懸念する声が国内に広がっていた。そこに、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた。

 インド離脱で懸念されるのが中国の影響力拡大だ。インドはRCEP参加国のうち、GDPで約1割、人口で約4割を占める。民主主義や法の支配の価値観を共有する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現を、外交・安全保障戦略の柱とする日本にとって、価値観を共有するインドは対中国の牽制(けんせい)役との期待があった。

 16カ国の枠組みの中でサプライチェーンを構築しようとしていた日本企業への影響も少なくない。日本政府が中心となり、ぎりぎりまでインドに交渉復帰を働きかけてきたが、署名式にインドの姿はなかった。

 一方、複数の自由貿易協定(FTA)が重複することで、それぞれの関税や規則などが絡み合い、貿易が混乱する可能性があるとの見方もある。現にオーストラリアなど7カ国はRCEPと環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に重複参加する形になる。キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「重複の問題を避けるには、将来的に一つの大きなFTAに関係国すべてが参加することが望ましい」と話す。RCEPには中国が参加することから、国有企業など中国の経済活動を規律するようなレベルの高いルール作りは期待できない。このため山下氏は「国有企業などですでに高い規律を持つTPPにまずは米国が復帰し、中国などの参加を促すことが有益だ」と指摘する。

 民主党内の反対意見などもあり、米国のTPP早期復帰は厳しいといった見方もあるが、この点で来年、TPP議長国を務める日本のリーダーシップが求められそうだ。(那須慎一)

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