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春闘、変わる潮目 コロナで労組も揺れる 政権交代で官製春闘続くか 

出邸する菅義偉首相=2日午前、首相官邸(春名中撮影)
出邸する菅義偉首相=2日午前、首相官邸(春名中撮影)

 来年の春闘では新型コロナウイルス感染拡大や政権交代を受け、賃上げが続いてきたこれまでの流れが変わる可能性が強まっている。今年までの春闘では7年連続で大企業で2%を上回る水準の賃上げが実現したが、景気の先行き不安や収益悪化懸念から、経営側は賃上げに慎重になっている。賃上げ重視を強調する労働組合サイドも経営環境をみれば、従来方針を維持するだけの立場はとりにくい面もある。賃上げの旗振り役だった安倍晋三前首相が退き、菅義偉政権が誕生する中で、政府主導の官製春闘が続くかも焦点となる。

 「コロナ禍によって雇用維持に対するプレッシャーが大きい。従来型の相場観をもった賃金水準の議論は難しい」

 経団連の中西宏明会長は9月の定例記者会見で賃上げについての考えを語った。

 経団連が来年の春闘方針を議論する経営労働政策特別委員会の会合でも、各社のトップからは「まずは雇用の維持を優先」「コロナの再拡大の懸念もあり、賃上げ率についてはまだ議論できない」といった声が聞かれた。これまでの「賃上げは景気の好循環のため必要」という共通認識はすでに崩れている。

 これに対し、労働組合の中央組織である連合の神津里季生会長は「これまで同様、底上げ、格差是正という基本的な考えは維持」と強調。「コロナは非正規雇用など弱い立場にある人に打撃を与えている」とも述べて、賃金水準の底上げが重要と訴える。

 しかし経営環境の激変は明確なだけに、連合の幹部からは「従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)2%という、ここ数年の目標表明が正当性をもって受け入れられるか疑問はある」との声もある。「賃上げ水準や方針をどう表明するか」との悩みは深い。

 さらに来年の春闘の鍵を握るのが菅首相の対応だ。この7年間の賃上げは安倍氏が経済界に2%といった上昇率などを明確にして、賃上げを呼びかけてきたことが大きな原動力になってきた。

 菅首相は最低賃金の引き上げの必要性は表明しているが、春闘へのスタンスは現時点では明らかにしていない。安倍氏のように経済界に賃上げを呼びかけるか、新たな経営環境を踏まえた別の路線をとるのかが、春闘の流れに大きな影響を与えそうだ。(平尾孝)

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