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WTO事務局長選 中国の主張認めた判断に米反発、越年も

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 【ロンドン=板東和正】空席となっている世界貿易機関(WTO・本部ジュネーブ)事務局長の選出作業が佳境を迎えている。事務局長選に残る5候補は10月上旬にも2候補に絞り込まれる予定で、WTOは11月上旬までに新トップを選出したい考え。ただ、米中貿易戦争で中国の主張を認めたWTOに対するトランプ米政権の反発が選出作業に影響し、年内の決着が困難になることが懸念されている。

 候補者として残っている5人のうち、女性は韓国産業通商資源省の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長▽ナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相▽ケニアのモハメド元外相。男性はサウジアラビアのトワイジリ元経済・企画相、英国のフォックス前国際貿易相が残った。

 WTOは24日から10月6日にかけて、2人の候補者を選ぶ作業を行う予定だ。選出は原則、投票という形はとらず、加盟国の全会一致が慣例だ。そのため、WTOは選出作業で、加盟国と500近くの非公開の協議を実施するといわれる。

 しかし、加盟国の合意形成が重視される選出の途中で、WTOが米国を刺激する出来事があった。WTOの紛争処理小委員会(パネル)が今月15日、米国が中国製品に課した高関税を不当とする報告書を公表したのだ。

 トランプ政権が輸入制限のために課した関税を不当と判断したのは初めてとされ、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は「WTOは中国の有害な慣習を阻止するのに当たり、完全に無力だ」と反発。トランプ大統領はこれまでもWTOの自由貿易体制のもとで米国が中国に「食い物にされてきた」と不満を示していただけに、通商問題の専門家は「米国がためてきたWTOへの不満を爆発させた」との見方を示す。

 英紙フィナンシャル・タイムズは「貿易関係者や専門家の中には、米国がWTOの機能のあり方に対する抗議の一環として、(選出の)プロセスを妨害するのではないかと疑う者もいた」と指摘する。

 同紙は「(妨害の)兆候は今のところ見られない」とするが、国際情勢に詳しい東京理科大の平塚三好教授は「米国がWTO改革に適した候補を見いだせなかった場合、選出に向けた積極性を失う恐れはある」と強調する。米中対立の激化で、一方が強く推す候補を他方が拒否する可能性もあり、選出が来年以降になるとの見方も広がっている。

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