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米の対中関税「不当」 WTOパネルが初判断

スイス・ジュネーブにあるWTO本部のロゴ(ロイター)
スイス・ジュネーブにあるWTO本部のロゴ(ロイター)

 【ロンドン=板東和正】世界貿易機関(WTO・本部ジュネーブ)の紛争処理小委員会(パネル)は15日、米国が中国製品に課した高関税は不当とする報告書を公表した。AP通信によると、トランプ米政権が輸入制限のために課した関税を不当と判断した初めてのケースとなった。米国側は報告書を受け、WTOを「完全に無力」と批判。米中対立が今後、激しさを増すことが予想され、WTOが進めている次期事務局長の選出作業が難航する恐れもある。

 今回のパネル審理の対象となったのは、中国による知的財産権の侵害などを問題視するトランプ米政権が中国からの製品に課した制裁関税の措置。中国は2018年4月、米国が発動した措置は不当としてWTOに提訴していた。

 パネルはWTOの紛争処理機関で「一審」に相当し、当事国は結論に不服がある場合は上訴できる。審議は「二審制」で行われるが、WTOは最終審に相当する上級委員会で欠員が出ており、事実上、機能していない。米国が上訴しても、審理は長期化するとみられる。

 ロイター通信によると、パネルの報告書は、米国の関税は中国にのみ適用され、規定の関税率の上限も超えているため「貿易ルールを破っている」と指摘。米国は中国に対する措置が正当である理由を「十分に説明していなかった」と結論づけた。

 報告書を受け、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は15日、声明を発表し、「米国は中国の不公正な貿易慣行から身を守らなければならない」と制裁措置の正当性を主張。「WTOは中国の有害な慣習を阻止するのに当たり、完全に無力だ」と批判した。トランプ米政権はこれまでも、中国の知的財産権の侵害などにWTOが十分に対応できていないとして不満を募らせていたとみられている。

 一方、WTOは今月7日、空席となっている事務局長の選出の最終段階にあたる候補者の絞り込み作業に入った。WTOは届け出済みの8人の候補者について加盟国と非公開の協議を繰り返し、11月上旬までの次期事務局長選出を目指している。だが、今回のパネルの報告書により、米中が選出の過程で、一方が強く推す候補を他方が拒否する可能性が高まった。事務局長の選出が来年まで長引く恐れも指摘されている。

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