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【検証92カ月】通商 自由貿易推進の姿勢貫く TPP参加「国家百年の計」 誤算も

 「日本は、自由で開かれていて、ルールに基づいた国際秩序を保全すべく決意を固めた。国際貿易システムは公正・透明であるべきだ」。安倍晋三首相が2019年1月、スイスの世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で行った演説には、政権の通商政策への姿勢が明確に述べられていた。

 資源のない日本にとって、自由貿易は“生命線”といえる。基幹産業である自動車は年間500万台近くを輸出している。各国との交渉で関税を引き下げ、輸出入を活発化させる経済連携協定(EPA)のメリットは大きい。

 一方で輸入の促進は、国内産業を輸入品との厳しい競争にさらし、時には致命的な衰退につながることもある。このため、EPAの交渉開始時には農業関係者らから反発の声が上がることが多い。それでも首相は一貫して自由貿易を推進する姿勢を堅持した。日本初の農業大国との協定となった日豪EPAに関しては、第1次安倍政権の06年にオーストラリアと交渉開始で合意。その後、第2次安倍政権が交渉を重ねて署名、発効にこぎつけた。

 日本が豪州から輸入する牛肉に課す関税が段階的に削減されるほか、豪州が日本車にかける関税の撤廃が決まった。関税引き下げは幅広い品目に及び、日本酒の輸出を手掛ける出羽桜酒造(山形県天童市)も日豪EPAを活用。担当者は「EPAによる関税の引き下げは、最終的な売価に反映されるため、恩恵は大きい」と話す。

 安倍政権は長期的に安定した基盤を生かし、積極的に経済連携を進めた。その象徴が、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)だ。安倍政権は13年3月、旧民主党政権ではできなかった交渉への参加を決断。首相は記者会見で「交渉参加は国家百年の計だ。この機会を逃すことは日本がルール作りから取り残されることにほかならない」と強調した。16年に12カ国での署名にこぎつけた。

 誤算もあった。日米の激しい交渉の結果生まれたTPPだが、17年に就任したトランプ大統領はあっさりと離脱を表明。日本は他の参加国をまとめ上げ、11カ国による新しいTPP妥結に「重要な役割を果たした」(シンガポールのリー・シェンロン首相)。

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