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ネット上の誹謗中傷で政策集 総務省

総務省=東京都千代田区(斎藤浩一撮影)
総務省=東京都千代田区(斎藤浩一撮影)

 インターネットの交流サイト(SNS)などで匿名の発信者による誹謗(ひぼう)中傷が社会問題化していることを受け、総務省は1日、政府としての政策集を取りまとめた。匿名の投稿者を迅速に特定できるよう電話番号を新たに開示対象に加えることなどが柱。一方で発信者情報を被害者に開示するための新たな裁判手続きの創設については、表現の自由や通信の秘密が制限される懸念があるため、「検討を進めていく」との表現にとどめた。

 「匿名の陰に隠れた誹謗中傷は許されない」。高市早苗総務相は、同日の記者会見で政策集の意義を強調。その上で、今後も残された課題に早期に取り組んでいく意向を示した。

 SNSの被害者が加害者に被害回復を求める際には、書き込みを行った発信者を特定する必要がある。裁判所を通じて特定する場合は、書き込みのあったウェブサイトの管理者に、投稿者の情報を保全してもらうように求め、その後、通信事業者に投稿者の氏名や住所の開示を請求するという2回の裁判手続きが必要となっている。

 このため、総務省は、1度の申し立てで裁判所が情報開示を決め、被害者の救済を迅速化するという案を提案していた。一方、総務省の有識者会議のメンバーなどからはこの案に、「多くの人がネット上での表現をためらってしまう」といった慎重論が相次いだ。

 規制強化に慎重な意見が根強いのは、表現の自由や通信の秘密は憲法で守られた権利だからだ。誹謗中傷と批判的な意見の明確な線引きは難しい。発信者情報を開示するハードルが下がりすぎれば、裁判を恐れ、自由な書き込みができなくなる可能性がある。

 ほかにも、匿名で内部告発されたブラック企業が、告発者の特定のために開示請求をする可能性もあり、告発者を守ることができなくなる恐れもある。

 誹謗中傷問題は、5月下旬にフジテレビの番組に出演したプロレスラーの木村花さんがSNSで非難を受けた後に死去したことで注目を集めたが、表現の自由と被害者救済の問題は、インターネットの黎明(れいめい)期から議論が続けられている課題でもある。

 総務省の有識者会議が8月にまとめた中間報告でも、新たな裁判手続きの創設については「社会情勢が変わったというだけで説明できるのか、あまりにも必要な議論を飛ばしすぎている」とする意見書が付帯された。このため、裁判手続きについては、さらに議論を加え11月をめどに方向性が示されることになった。(高木克聡)

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