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WTO事務局長、空席に 米中対立で後継選出難航か

世界貿易機関(WTO)の本部=6月、スイス・ジュネーブ(ロイター)
世界貿易機関(WTO)の本部=6月、スイス・ジュネーブ(ロイター)

 世界貿易機関(WTO・本部ジュネーブ)の事務局長が1日、空席となった。アゼベド前事務局長が任期を1年残して8月31日に退任したためだ。WTOでも米中は激しく対立し、事務局長代行も立てられない「トップ不在」の状況に陥った。8人の候補者の絞り込みが始まるが、選出作業は難航が予想される。(高橋寛次、ロンドン 板東和正)

 退任したアゼベド氏の代行を4人の事務次長から選ぶ作業で、米国が自国のウルフ事務次長の局長代行就任に固執したが中国などが反発。結局、4事務次長が当面留任し、それぞれが担当する分野の事務作業を継続することになった。

 WTOは9月7日から現在の8候補を5人、2人と段階的に絞り込む作業を開始する。最終的には全会一致で1人を選出するが、事務局長の選出は合意形成を重視するため、投票は原則、行われない。WTO一般理事会のウオーカー議長は11月上旬までの選出を目指している。

 だが、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、WTO改革を唱える米国と、それに反発する中国の間で対立は激しく、164の加盟国・地域は選出が来年まで長引くことを覚悟しつつあるという。

 事務局長選の候補者は、女性は韓国産業通商資源省の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長▽ナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相▽ケニアのモハメド元外相の3人。男性はメキシコのセアデ元WTO事務次長▽エジプトの元WTO高官のマムドゥ氏▽モルドバのウリヤノブスキ元外相▽サウジアラビアのトワイジリ元経済・企画相▽英国のフォックス前国際貿易相の5人。

 WTOの歴代の事務局長に女性やアフリカ出身者がいないため、次期事務局長にはオコンジョイウェアラ氏とモハメド氏の2人が有力視されている。

 FTによると、オコンジョイウェアラ氏は現在はワクチン開発などを支援する国際組織の理事長を務める。同氏はWTOを新型コロナウイルス対策に貢献する組織にする考えを示しており、8月22日に自身のツイッターで「WTOのルールはワクチンを誰もがアクセスしやすく、手頃な価格で入手できるようにすることができる」と強調。モハメド氏は外相時代にWTOの一般理事会の議長を務めた経験があり「私は即戦力の候補者だ」とFTに訴えた。

 日本政府は、WTO改革を強力に推進できる候補を推す考えだ。支持候補は明確にしていないが、有力候補であるオコンジョイウェアラ、モハメドの両氏を軸に、選出プロセスに関与する方針とみられる。政府関係者は、「ホワイトハウスに乗り込んで米大統領に直談判できるくらいの人が望ましい」と、政治経験豊富な両氏を評価している。

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