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大衆薬売却 武田薬品、「脱・日本」に社内反発も

武田薬品工業のグローバル本社ビル=東京・日本橋
武田薬品工業のグローバル本社ビル=東京・日本橋
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 武田薬品工業が、一般用医薬品(大衆薬)事業を米投資ファンド、ブラックストーン・グループに売却する。武田は売却を機に収益性の高い医療用医薬品に特化し、競争が激化するグローバル市場で生き残りたい考えだ。もっとも、日本の消費者との貴重な接点である大衆薬を手放せば、「脱・日本化」が進むのは必至で、日本人社員やOBからの反発も予想される。

 「武田は研究開発を中心とした(医療用の)バイオ医薬品企業だ。成長を促す投資ができないのであれば、保有し続けるのは正しくない」

 武田が24日にオンライン上で開いた記者会見。クリストフ・ウェバー社長は、大衆薬の売却に踏み切る理由をそう述べた。

 製薬大手の中でも、「メガファーマ」と呼ばれる米ファイザーやスイスのロシュといったトップ企業は武田の2倍以上の売り上げを誇り、大衆薬を非中核事業と位置付ける一方、医療用の創薬研究に力を入れてきた。武田の売却もそうした流れに沿ったもので、今後はがんや消化器系など5つの領域に経営資源を重点投入する考えだ。

 売却決断の背景には、人口減などで国内の大衆薬市場が頭打ちとなっていることや、新型コロナウイルスの感染拡大で重要顧客である訪日外国人の回復が遅れていることもあるとみられる。医療用とのシナジー(相乗効果)が薄い上に、大衆薬子会社の武田コンシューマーヘルスケア(TCHC、東京)の売上高は会社全体の数%しかなく、業績への影響は小さい。

 もっとも、昭和29年に初めて発売されたビタミン剤「アリナミン」は、高度経済成長期の同社の経営を支えただけでなく、長年にわたり多くの国内消費者に親しまれてきた。また、大衆薬の売却は分社化によってTCHCを設立した平成28年にはすでに噂されていたが、ウェバー氏は「売却する考えはない」と否定してきた経緯がある。

 今月17日には国内で30歳以上、勤続年数3年以上の社員を対象に希望退職を募ると発表したばかり。ウェバー氏は会見で「日本のビジネスを成長させることに関与していく」と述べたが、「日本軽視」と受け取られかねない。

(井田通人)

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