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新型コロナ、災害派遣…救急医療を支える迅速な情報共有 「LINE WORKS」が開く新たな連携の扉

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 会話感覚の気軽なやり取りを仕事に生かすビジネスチャットの活用領域が広がっている。テレワークで減ったオフィスのコミュニケーションの補完に加え、情報共有の迅速さやセキュリティーへの信頼性が緊急の対応を迫られる医療現場でも評価を得ている。新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、有料ビジネスチャット国内首位(※)の「LINE WORKS」は4月から全国の医療機関を対象に有償プランの無償提供を開始。院内感染のリスクを防ぎつつ、最前線で治療にあたる医師や看護師らの、職種・組織の枠を越えた連携を支え、オンライン診療など新たな可能性を生み出している。※出典 : 富士キメラ総研 「ソフトウェアビジネス新市場2019年版」

【9月30日(水)まで】医療機関向けLINE WORKSの無償提供 申込窓口

病院長から現場、外部機関まで連携

 「千葉県内でクラスター(集団感染)が発生。患者の受け入れ要請が予想されます」「ICU受け入れ可能です」

 県の災害拠点病院として、救急患者や重症者の対応を担う千葉大学病院(千葉市)。救急科・集中治療部の中田孝明医師のスマートフォンには、新型コロナ関連の情報が飛び交っていた。

 病院長から現場の医師まで約30人が参加するLINE WORKS上のトークルーム「COVID-19対策本部」のやり取りだ。中田医師は「緊急の要請でも現場から幹部まで一斉に共有でき、対応の可否など関係者間のトーク(チャット)もその場で行える。対策本部に必要な機能がそろっている」と説明する。

千葉大学病院がLINE WORKS上に設置した新型コロナウイルス「対策本部」。病院長から関係する診療科の医師まで情報を共有することで、円滑な連携を可能にしている
千葉大学病院がLINE WORKS上に設置した新型コロナウイルス「対策本部」。病院長から関係する診療科の医師まで情報を共有することで、円滑な連携を可能にしている
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 同病院は2月初旬、クラスターが発生した「ダイヤモンド・プリンセス号」の患者受け入れを契機として、新型コロナの「対策本部」「重症患者対応」「ICU」など関係者別のトークルームを設置。これまで1日最大約30人延べ約80人の患者が入院し、さまざまな診療科やスタッフの協力が求められるなか、円滑な連携を実現して治療にあたった。

 例えば、急激に重症化する恐れのある新型コロナの特性を踏まえ、軽症者の情報も重症診療を担う救急科チームなどにも共有し、万が一の事態に備えたという。中田医師は「受け入れ準備など迅速に対応でき、治療にも有意義だ」と語る。

重症患者治療の最前線に立つ救急科・集中治療部を率いる中田孝明医師(左)
重症患者治療の最前線に立つ救急科・集中治療部を率いる中田孝明医師(左)
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 さらに、外部機関ともトークルームをつくれるLINE WORKSの「外部トーク連携」機能を利用し、市内の5病院と受け入れ状況を共有。企業と取引先などとのコミュニケーションを想定したビジネス版の特徴を生かし、1つの病院に患者が集中しないよう見える化し「医療崩壊」のリスクを減らしている。

独自システムと連動して機能を拡張

 同病院は新型コロナ感染拡大に先立つ2017年にLINE WORKSを導入した。背景には救急医療機関・災害拠点病院としての課題があった。大規模事故などの災害発生時は、同時に複数の患者の受け入れを求められ、人手の不足する夜間や休日に医師や看護師らを呼び出さざるを得ないケースもあったという。

 古くは個別に電話をすることから始まり、その後はメールの一斉配信などで呼び出していたが、「院外から返信があっても、院内のスタッフは治療で忙しいので、メールの返信を確認する余裕はなく、十分な態勢が整うのか分からなかった」(中田医師)。このため独自に医師を集合要請するシステムを開発。一斉配信したメールに対し、「すぐ行ける」「何分以内に行ける」「行けない」という定型の返信を登録し、集合人数などをリアルタイムで把握できるようにした。現在は、中田医師が代表を務める千葉大発ベンチャーSmart119が「救急患者受入強化システムAcute Care Elastic System(ACES)」として販売している。

 このACESは集合要請・応答の効率化には有用であるが、要請に伴う現場の情報や人の配置など細かなやりとりはできないため、個人のLINEで連絡を取り合うこともあったという。このため、LINEのUIを踏襲しつつ法人向けのセキュリティー管理機能を備え、さらにLINEとは異なり外部システムと連携した運用が可能なLINE WORKSを採用。「BoT API」という機能を活用し、ACESからの通知とコミュニケーションがLINE WORKS上で完結し、円滑に情報を共有して患者の個人情報などを扱える仕組みを構築した。

千葉大学病院の救急科・集中治療部スタッフが利用するLINE WORKSのトークルーム(左)には、「医師集合要請システム」と連動したメッセージが配信され、LINE WORKSからの個々の返答がシステムに反映される(右)
千葉大学病院の救急科・集中治療部スタッフが利用するLINE WORKSのトークルーム(左)には、「医師集合要請システム」と連動したメッセージが配信され、LINE WORKSからの個々の返答がシステムに反映される(右)
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 同病院には「DMAT(災害派遣医療チーム)」の派遣要請もあるため、「震度5以上の地震」などの設定で気象庁の発表をLINE WOWRKSの特定のトークルームに自動通知する仕組みも開発。さらに、千葉市では消防局の全救急隊もLINE WORKSアカウントを持っており、日々の病床の稼働状況を共有して患者の受け入れ方針を示すなど地域の救急態勢を整えるインフラとしても利用している。

 中田医師は「LINEでもチャットはできるが、仕事とプライベートは切り分けたいので、ビジネスユーズで、通信の暗号化をはじめセキュリティー分野の国際認証規格を取得している LINE WORKS を選んだ。また、医療現場の課題を解決するシステムを開発し、連動・機能拡張ができることは、単なるチャットアプリではなく医療現場を改善するツールになり得るため重要なポイントだ」と振り返る。

オンライン診療で通院患者をサポート

 同病院以外にも関西医科大附属病院などがLINE WORKSを導入済みで、無償提供にも7月末までに約200機関が応募した。今後は医療現場の連携の後押しに加え、新型コロナ対策で注目が集まるオンライン診療への利用も期待される。

 実際、千葉大学病院では、LINE WORKSがLINEとのやりとりが可能な点を活かしたシステム開発も開始。このシステムは患者が身長・体重や諸症状の有無など入院時のチェック項目をLINEからアンケート形式で回答することにより、接触なしで確認することも可能だ。

 普及率の高いLINEで回答できるため患者は新たなアプリを使う必要がなく、慣れ親しんだ操作で医師とコミュニケーションが取れる。これに対し、病院側は、コロナ禍により1枚1枚に施していた記入用紙の消毒といった労力も省くことができる。LINE WORKSの拡張機能を活用して診療データや電子カルテなどを作成・保存するシステムを連動させれば遠隔地や隔離空間でも診療する態勢が整う。

中田医師は医療ベンチャーの代表として、現場に必要なシステムの開発にも取り組んでいる
中田医師は医療ベンチャーの代表として、現場に必要なシステムの開発にも取り組んでいる
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 Smart119では、すでにLINE WORKSと連動したオンライン診療サービス「Smart Telemedicine」を開発し、7月から都内の病院で試験運用を始めた。新型コロナの感染が再び広がるなか、疾患を持つ患者が院内感染を恐れて通院を敬遠する傾向が続いている。

 中田医師は「新型コロナには長期的な対応が迫られる。感染者はもちろん、通院の難しい患者にとってもオンライン診療などのサポートが必要になる」と先を見据えている。

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提供:ワークスモバイルジャパン株式会社

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