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周波数変更で“裏技”に制限 ミスを重ねる楽天のずさん体質、ファン裏切る

楽天が独自に開発したスマートフォン「楽天ミニ」=(楽天モバイル提供)
楽天が独自に開発したスマートフォン「楽天ミニ」=(楽天モバイル提供)
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 対応周波数帯が無断で変更されていた楽天のスマートフォン「楽天ミニ」は、コンパクトなサイズとデザイン性を兼ね備えた他にはない特徴を持つ機種として人気があった。楽天モバイルは回線エリアが狭いという弱点があるが、ネット上では本体だけ購入して通信は格安スマホと契約する“裏技”も紹介されていた。周波数変更により、こうした利用が一部制限されることになる。楽天のずさんな体質が、楽天ミニを指名買いしたファンを裏切った格好で、楽天ブランドはまたも傷ついた。

 「あまり聞いたことのないケースだ」。携帯電話の周波数の規格を勝手に変え、しかも公表してこなかったという前代未聞の不祥事に、総務省の担当者も首をかしげる。

 携帯電話の周波数は帯域ごとに「バンド1」「バンド2」といった具合に数十に区切られ、各社に複数のバンドが割り振られている。周波数の高い帯域は高速通信に向き、低い帯域は広範囲に電波が届くなどの特性があり、各社はバンドを組み合わせて全国のエリアをカバーしている。

 すべてのバンドに対応できればいいが、電波干渉をさけるため、通信各社は携帯電話の端末ごとにいくつかのバンドを選び、対応状況を公表している。対応バンド以外の電波は受信できないため、どのバンドに対応しているかは消費者にとって重要な情報だ。

 問題の発端は楽天の設計ミスによって生じた。楽天ミニの初期モデルは北米の提携先のバンド2、4、5などに対応していなかったからだ。海外での無料通信を売りにする楽天モバイルにとって、このことは致命傷になりかねなかった。そこで独断で仕様変更を行ってバンド5を追加。さらにバンド4を追加する変更を行った際に、もともと対応していたバンド1が削除された。

 バンド1は楽天への割り振りはないが、国内ではNTTドコモが主要とする帯域で、ほかの大手も利用している。ただ楽天によると、端末の性能に限界があることから、外したという。

 この変更により被害を受けたとみられるのが、ドコモ回線を使って楽天ミニを使おうと思っていたユーザーだ。楽天ミニはオンラインで対応端末に契約情報を直接書き込む「eSIM」専用端末で、eSIMを書き足せば、他の通信会社のサービスも併用できる。

 現状では、ドコモ回線を借りているインターネットイニシアティブ(IIJ)が格安スマホのeSIMサービスを提供している。そこでデータ量1ギガバイトを月450円から利用できる低料金のプランを使い、楽天の回線網の狭さをドコモ回線で補えると一部で話題になっていた。

 楽天はバンド1が使えるタイプへの交換には応じる方針だというが、別の問題もある。

 冒頭で“裏技”と書いたが、端末と通信契約を別の会社にすることは認められており、問題はない。むしろ楽天は昨年、他社回線を使えなくする「SIMロック」の即時解除を義務化した際に、他社回線で使えない端末は販売すべきではないとすら主張していた。

 今回の仕様変更で他社回線が利用できなくなる仕様になったことについて、ある関係者は「市場を自由化するという楽天モバイルの理念そのものに反するのでは」と厳しく批難する。特にバンド1を外した判断は、欧州などでも広く使われているため「ほかのバンドで対応できなかったのか」との声も上がる。

 現時点で、楽天ミニを使いながらIIJと契約しているユーザーはそれほど多くはないとみられる。ただ、問題が起きた背景をみると見過ごせない部分は多い。

 今回の問題は(1)初期設計で北米の周波数に対応していない(2)仕様変更の公表と届け出の失念(3)2度目の変更で国内外で利用される主要な帯域を対象外とした-という、3つのミスが重なったといえる。

 なぜミスは起きたのか、なぜガバナンス(企業統治)が機能しなかったのか。高い公共性が求められる携帯電話の事業者としての責任が問われそうだ。

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