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【新章 働き方改革】ITジャーナリストのポイント解説(3)「クラウドの活用法を考える」

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 テレワークを成功に導く三種の神器のうち、前回は最初の一歩としてモバイルデバイスの選び方を紹介した。今回は、次のステップとして離れた場所で働く人をつなぐ「クラウドサービス」の活用法を考える。

ポイント1.散在している資料を共有・編集する

 クラウドは、インターネットを通じて利用するソフトウェアやストレージ(記憶媒体)などサービスの総称。かつてはパソコン1台ずつソフトをインストールし、最新版が出るたびに更新作業をする手間がかかった。しかし、クラウドは提供元が一括してサービスを更新するので、つねに最新の機能を利用できる。また、ストレージは資料などのデータが増えても、パソコン内の記憶容量の限界に縛られず保存できる。ただし、クラウドサービスの契約内容によっては、保存できるサイズに制限もある。

 英語で「Cloud(雲)」と表記するように空中(ネット上)で作業するイメージだろうか。例えば、ネット上で情報を探し出すグーグルの検索や、音楽のサブスクリプション(定額制)など日々の暮らしに既に浸透している。

 ビジネスシーンではマイクロソフトの「Microsoft 365」と、グーグルの「G Suite」の2つが代表的なサービス。マイクロソフトは「Office 365」から改称したことから分かる通り、WordやExcel、PowerPointなどのクラウド版となっている。G Suiteも同様のアプリ機能がある。

 各自のパソコンに散在していた企画書や見積書、プレゼン資料を、クラウドを介してネット上のフォルダで共有し、作成者以外も編集できる。オフィスワークでも情報共有や、チームによる作業の効率化を図る目的で導入されているが、コミュニケーションが疎かになりがちなテレワークでは必須のサービスだ。

クラウドを活用することで場所にとらわれない共同作業が可能になり、仕事の効率が大きく改善される。
クラウドを活用することで場所にとらわれない共同作業が可能になり、仕事の効率が大きく改善される。
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 例えば、横浜市にある英会話講師の家庭派遣サービスやオンライン英会話レッスンを提供している会社では、G Suiteの活用を実践している。スタッフはこれまでExcelに生徒の履修コースや学習状況などを記録し、担当講師とファクスのやり取りで管理していた。そのデータをG SuiteのGoogleドライブという共有フォルダのスプレッドシートと呼ばれる表計算アプリで管理することで、全員が共有できる業務データベースへと発展させた。自宅からでもアクセスできるようになり、講師がリアルタイムで状況を把握するなど業務の効率化を実現した。

 こうしたクラウドの効果は、大企業よりも少人数の中小企業の方が効果を発揮しやすい。新規のサーバーやソフトなどの投資を低減し、契約したその瞬間からサービスが使えるようになるので、テレワークの推進にとっても最短距離になる。

ポイント2.基幹系にも導入し、経理や給与担当者の在宅勤務を可能に

 これまで説明した各部門やチームの業務に関わる資料やスケジュール、メールなどは「情報系」システムと呼ばれる。次の段階として考えたいのが、生産や販売、在庫の管理、財務会計や給与計算など企業全体のヒト・モノ・カネを管理するのが「基幹系」システムだ。

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 実は、在宅勤務のハードルが高いのがこの基幹系システムに関わる経理などの業務。これらのシステムは一括管理やセキュリティーの観点から、自社内で運用するサーバーが使われるケースが多く、社外での仕事が難しいためだ。

 しかし、この基幹系でもクラウドサービスが浸透し始めている。例えば、老舗ソフトメーカーのPCAは、財務会計や給与・人事に販売管理などのクラウドサービスを提供。もちろん、捺印などの課題はあるが、経理や給与の担当者が社外でも利用できる環境を整備している。パッケージ版のアプリとも互換性があり、すでに同社のソフトを利用している企業は、短期間で移行できるのも利点になる。

 今回はクラウドの基本的な考え方を説明したが、最近はより便利な共有や業務効率化のサービスが広がっている。代表例としてビジネスチャットを次回は紹介する。

ITジャーナリスト 田中亘(たなか・わたる)
 1961年、東京生まれ。パソコン販売、ソフト開発などを経て、1989年からITライターとして独立し、「できるWord」シリーズなど著書多数。

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