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【新章 働き方改革】GMOインターネットグループ 熊谷正寿代表「印鑑レスは簡単に実現できる」

熊谷正寿GMOインターネット会長兼社長
熊谷正寿GMOインターネット会長兼社長

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言で、政府は感染拡大の防止策として出勤抑制を求めている。オフィスワークはIT化でテレワークへの移行が進んでいるが、伝統的な商習慣が障害になるケースがある。代表例が、契約書や書類の信頼性を担保する押印・捺印(なついん)の文化だ。

 印鑑を押すために出社する風潮が依然として残るなか、GMOインターネットグループは4月に顧客に提供する全サービスで印鑑を廃止し、取引先とは電子契約のみとする方針を表明した。「印鑑レス」「(契約の)ペーパーレス」を決断した熊谷正寿代表にオンラインで話を聞いた。

 ━━印鑑レスとペーパーレスを宣言した理由は

 「2つある。まず、1月下旬に東京や大阪、福岡の社員約4000人を在宅勤務に切り替えたが、約1000人は完全な在宅を実現できなかった。アンケートで理由を探ると、大きな要因として印鑑に関する業務があった。2つ目はグループ全114社の代表として日々、各部門から印鑑を求められ、個人的にも膨大なアナログの作業を続けることに疑問があった。政府が在宅勤務を呼び掛けているなか、印鑑が妨げになるのは問題なので一気に廃止しようと思った」

 ━━電子契約サービスも展開する先進的な企業グループ内でも、押印・捺印の文化は残っていたか

 「稟議(りんぎ)や申請、グループ企業間の契約など社内手続きは全て電子化しているので印鑑は一切必要ない。ただ、顧客企業から求められたり、官公庁と契約したりするケースで一部残っていた。今回、グループ企業から印鑑が残っている業務の報告を集め、短時間で棚卸した。例えば、法人向けのサーバーレンタルサービスは契約時と解約時に押印を求めていたが、本人確認などの条件を満たせば電子化できると分かった。社会の慣習として残っている側面もあるので、印鑑レスを宣言して後戻りできないようにした。システム改修に時間が必要な一部サービスも、期限を設定して実現する予定だ」

 ━━ハードルは高かったか

 「実は簡単に実現できる。今回、個人としても印鑑レスを実践しようと思い、(証明書や確定申告の電子申請ができる)マイナンバーカードを申請した。官公庁とのやり取りはこれで印鑑が不要になるし、企業間は電子契約サービスを活用できる。法的な拘束力があり、(契約者が本人か確認する)電子証明書の発行や実印、契約印などのバリエーションもあるサービスだ。(消費者保護の観点から)書面のやり取りが義務付けられている分野はいくつかあるが、印鑑レスやペーパーレスは個人でも企業でもあらゆる場面で実現できる」

 ━━どんな効果がでているか

 「紙のやり取りをなくすことで、時間もコストも大幅に低減できた。書面を作成して郵送し、関係者が印鑑を押すという作業がなくなることで、郵送費、人件費が省けるためだ。浮いた労力やお金をより有益な業務に振り向ければ、生産性は向上する。企業の関心も高まっていて、GMOインターネットが提供する電子契約サービスへの問い合わせは(出勤抑制で)約10倍に増えた」

 ━━電子化を推進するはずの竹本直一IT担当相が「(印鑑レスは)しょせんは民・民の問題」と発言し、批判を招いた

 「発言は世間的にいろいろと言われているが、個人的には”気付き”につながったので感謝している。民間企業の問題ということは、(経営者が)意思決定するのみ。ならば、すぐに実行しようと思った」

 「印鑑がこれまで約束事のなかで果たしてきた役割は大きいし、文化として尊重している。意匠の高いものはこれからも存続すると思うが、(電子化で需要が減る)はんこ業者には配慮が必要だ。例えば、電子契約サービスに必要な電子証明書や電子印鑑の代理店に転換したり、(遺言状など公正証書を作成する)公証人サービスを展開したりする道が考えられる」

 ━━電子契約の国内市場は、令和4年までの5年間で年平均40・2%と高い成長率が試算されている

 「今回の新型ウイルスがきっかけになり、一気に普及すると思う。電子契約も含めテレワークが予想以上に機能するとみな理解し、(騒動収束後の)アフターコロナの世界でも従来の働き方に戻ることはない。もともと(次世代通信規格)『5G』が社会全体のデジタル化を牽引(けんいん)すると考えていた。遠隔医療や自動運転などにも利用できる5Gは、ネット接続の安定性などテレワークの課題を解決する。アフターコロナは5Gが普及し、インターネットがより人々の役に立つ世界になると思う」

くまがい・まさとし
 昭和38年、長野県生まれ。平成3年、グループの中核会社GMOインターネットの前身となるボイスメディアを設立し、社長に就任。平成7年、インターネット事業を開始し、インフラや広告・メディア、金融まで幅広いグループ会社を展開する。20年からGMOインターネット会長兼社長に就き現職。

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