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【風を読む】花が開く季節に思う 論説副委員長・長谷川秀行

16日夜、首相官邸で先進7カ国(G7)首脳のテレビ電話会議に臨む安倍晋三首相(内閣広報室提供)
16日夜、首相官邸で先進7カ国(G7)首脳のテレビ電話会議に臨む安倍晋三首相(内閣広報室提供)

 頭を冷やせという天からの警句なのか、それとも、心にゆとりを持てと促されているのか。先週末の東京で、真冬に戻ったかのような冷たい雪が舞ったにもかかわらず、観測史上もっとも早く、本格的な春の訪れを告げる桜の開花が宣言されたとき、とりとめもなく、そんなことを考えた。

 世界の金融市場の値動きがあまりにも荒い。底が抜けたように株価が暴落したかと思えば、過去最大の上げ幅となる場面もあった。新型コロナウイルスの感染がパンデミックとなり、市場がパニックに陥った印象だ。週明けには各国の中央銀行がようやく協調行動をとったが、今の世界経済はそれほど危うい状況に直面している。

 感染拡大であぶり出されたのは、これまで目をつむってきた不都合な真実の数々である。中国頼みの経済がはらむリスクの大きさは最たるものだ。中国共産党の独裁政治に翻弄される危険性を知りながら、日本は中国からのインバウンド需要を当て込んだ観光立国を目指してきた。各国企業が中国に敷いたサプライチェーン(供給網)もそうだ。いずれも中国の異変で大打撃を受ける懸念はもともとあった。

 世界経済も潜在的リスクを内包していた。従来の株高には行き過ぎの面もあり、弾(はじ)けるときはあっけない。世界的に緩和マネーがあふれ返り、民間企業の債務も膨張したままである。

 思い出すのは2008年のリーマン・ショック前だ。前年には米国で住宅バブル崩壊の影響が広がり、欧州の大手金融機関が苦境に陥るパリバ・ショックもあったのに、日米欧の当局者には国際的金融危機に発展するという認識はみられなかった。それがリーマン破綻で一気に火を噴くことになる。

 世界経済に蓄積された多くの問題が次々に発火しかねない点で、今回の危機も長期化する恐れがある。感染が終息に向かっても、傷痕がすぐに癒えるとみるのは楽観的だろう。

 こういうときだからこそ、周章狼狽(ろうばい)せず、各国が足並みをそろえて危機に立ち向かわなくてはならない。相手は世界共通の見えない敵である。先進7カ国(G7)の首脳が結束して行動するのは当然の流れだ。いよいよ花開く季節である。いつまでも冬の寒さに身を縮めているわけにはいかない。

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