「自粛」に唇かむ企業 イベント・営業…感染対策に苦悩
日産自動車は25日、横浜市の本社で行った軽自動車「ルークス」の新型車発表会をインターネット中継で実施した。新車発表は報道陣ら数百人が集まるのが一般的だが、感染リスク低減のため急遽変更。星野朝子副社長ら登壇者はカメラ目線で説明した。
■CM発表会から美容部員の業務まで…
一方、モスバーガーを運営するモスフードサービスは、約730人が参加する予定だった3月5日開催のフランチャイズ(FC)加盟店向け経営方針説明会の中止を決定。タリーズコーヒージャパンもFCオーナーら約500人を集める方針説明会を見送る。
資生堂やコーセーなどの化粧品大手は、百貨店の化粧品売り場などで美容部員が顧客の肌に触れるのを自粛している。
こうした営業活動の自粛やイベントの中止は企業にとって厳しい判断だ。26日に開催予定だったCM発表会を中止した食品大手の担当者は、「久しぶりの新CM発表だっただけに残念。多くの参加者となるため、中止せざるを得なかった」と悔しさをにじませた。
また飲料各社は、店舗内やイベント会場での試飲会など、営業活動で消費者に直接触れ合う機会も多く、「条件がそれぞれ異なるため、中止するかは個別に判断するしかない状況」(大手の担当者)と悩ましい様子だ。
各社とも、感染抑制の“勝負どころ”とする政府方針に沿って対策に懸命に取り組む姿勢だが、自粛ムードは消費心理の冷え込みやマーケティング戦略の見直しにもつながるだけに「苦渋の判断」だと苦しい声が漏れる。