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「本麒麟」の快進撃に3社の有識者が迫る じっくり味わう本格派のうまさに支持 メディアを超えた異例の鼎談で探るこだわり

 キリンビールの新ジャンル「本麒麟」の快進撃※1が止まらない。2018年3月の発売以来、第3のビールのイメージを覆す”力強いコクと飲みごたえ”に支持が広がり、発売から1年間の販売は4億本(350ml換算)を突破し、過去10年のキリンビール新商品で売上No.1となった。昨年は1月にコクを深めるリニューアルを施し、増税などでビール類市場が停滞する中、前年比約6割増※2と大幅に売り上げを伸ばした。ヒットの要因はどこにあるのか-産経ニュース、ビジネスマン向けトレンド雑誌『DIME(ダイム)』、日経BP総研というターゲットもテーマも異なる3社が異例の鼎談を実施し、背景にあるマーケティング戦略や商品の魅力、ライフスタイルなどを語り合った。

※1 過去10年のキリンビール新商品累計出荷実績(キリンビール調べ)

※2 2018年は1・2月の実績なし

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本音はビールが飲みたい

日経BP総研 品田英雄上席研究員
日経BP総研 品田英雄上席研究員
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 「消費者の声に真摯に向き合った結果、生まれたブランドだと思う。言葉では一人ひとりの声に耳を傾けると簡単に言えるけど、開発現場は試行錯誤を繰り返したんじゃないかな」

 そう語ったのは日経BP総研の品田英雄上席研究員。独自の視点に定評がある雑誌『日経エンタテインメント!』の創刊編集長を務め、ヒット作品の裏側を取材してきた経験から推し測る。

 新ジャンルは従来、「キリン のどごし<生>」などに代表されるように、「すっきり」「飲みやすい」など軽い印象を打ち出す商品が主流だった。その味わいと低価格が一定の評価を獲得し、家庭向けビール類市場の6割を占める一方、本格派のおいしさを求めるビール類好きの期待は別の所にあった。

産経新聞 小川記代子ウェブ編集長
産経新聞 小川記代子ウェブ編集長
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 産経ニュースの小川記代子ウェブ編集長は「新聞の読者の中心である40~60代はビールが飲みたいけど家計が許してくれないので、『普段は新ジャンル』と自虐的にいう人が多い」と指摘する。

 これに対し、キリンは「日常的に飲まれるものだからこそ、一番おいしいものを造りたい」(マーケティング担当者)と決意。消費者の「本当はビールが飲みたい」という本音に応えるため、ジャンルを越えた「最高品質」を目指して開発したのが「本麒麟」だ。

 キリンの本気を象徴しているのが、麒麟を冠したブランド名と、原料や製法など”味”へのこだわりだ。ビール特有の「苦み」「香り」を左右する主原料ホップは、伝統のキリンラガービールと同じドイツ産を一部採用。上質な苦みとさわやかな香りを実現したうえ、昨年のリニューアルでは増量し、おいしさに磨きをかけた。

 また、発酵後に味を調和させる低温熟成の工程は、従来に比べ1.5倍に長期化した(自社主要新ジャンル比)。雑味を丁寧になくすことで、より純粋にコクを感じられるという。アルコール分はやや高めの6%に設定し、本格的な味わいを好む層を1杯でも十分に満足させる仕上がりだ。

 DIMEの町田玲子編集長は「ガンガン飲むというより、じっくり味わって飲むような商品になっている」と評価する。小川編集長も「味はビールそのもの。自虐的になる必要がない」と応じた。

「モテメイク」に通じる赤×金

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 品田氏からは「(モノ情報を扱う)専門家として、町田さんにパッケージの色について意見が聞きたい」と質問が飛んだ。

 「本麒麟」の缶はコーポレートカラーの赤をベースに、瓶ビールでおなじみのエンブレムを真ん中に配した正統派のデザイン。シンプルに見えるが、色は濃淡の違いで数百種類の赤を研究して光沢を付け、蓋やエンブレムに金色を組み合わせるなど繊細に調整した。陳列棚に並ぶと目を引く華やかさとともに、新ジャンルとして異例の上質感を演出している。

DIME 町田玲子編集長
DIME 町田玲子編集長
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 美容誌を担当した経験のある町田編集長は「メイクでいうと赤の口紅に金色のアイシャドーを合わせるのはモテ色の一つ。金色が巧く赤を引き立たせている」と分析する。

 パッケージの美しさから、写真共有アプリ「インスタグラム」への投稿件数は2万5000件を超える勢い。販売でも当初はビール好きの40~60代が牽引してきたが、「インスタなどの口コミ効果で20~30代が購買層に加わってきて、2年目の大幅な伸びにつながった」(マーケティング担当者)と大きな成果を上げている。

 実際、消費税増税後の昨年10月は、キリンビールが発売している新ジャンル市場が前年同月比約12%減※3に落ち込んだと推定される中、「本麒麟」は約11%増と勢いを持続し、支持層の広がりを印象付けた。

※3 キリンビール調べ

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 快進撃を続ける「本麒麟」だが、新ジャンル市場は2020年から段階的にビール類の酒税が一本化されるという大きな壁が待つ。ビールや発泡酒に対して割安という強みは徐々に弱まり、より本質的な価値が問われるのは確実だ。

 だが、「本麒麟」は今年の販売を前年比約26%増の1900万ケース(大瓶20本換算)まで引き上げる方針。キリンは「消費者のおいしさへの期待はより一層高まってきている。商品の完成度を高め、認知度も上げていきたい」(同)と正攻法に徹する。

 この姿勢に太鼓判を押すように、3人は約1時間に及ぶ鼎談の感想を語った。品田氏が「目先にとらわれず、きちんと商品をつくり、結果がついてきた。うらやましいし、見習いたい」と語ると、町田編集長は「ブランド名や製法、パッケージすべてで、キリンが一番大切にしてきたものを結集している。その期待を裏切らないすごさがある」と同調。小川編集長も「正しいと思うことを愚直にやった結果がヒットにつながる。保守的というイメージの強かったキリンは、革新的でもあると思った」と話した。

お勧めの飲み方は? 「暖かな部屋でご飯と」「休みに映画を見ながら」「人とのコミュニケーションに」

 「本麒麟」の魅力を語り合った3人に、お勧めの飲み方を聞いた。

 小川編集長「キンキンに冷やして勢いで飲むんじゃなくて、暖かい部屋でおいしいごはんと一緒にゆっくり飲んでほしい、落ち着いてみんなで楽しくとか、大事な人と飲んでほしいな。もちろん、一人でもおいしい」

 町田編集長「普段はビール類を料理に合わせることが多いけど、『本麒麟』は休日に映画をゆっくり見ようとか、2時間くらいゆったりした時間を過ごしながら飲みたい。冷えていなくてもおいしいから、お休みの贅沢な時間を演出してくれると思う」

 品田氏「ビール類はおいしさはもちろん大切ですが、自分と周りの人々を幸せにするコミュニケーションツールという側面もあると思う。年を重ね、エンタメ業界を長らく取材してきて”売れる”よりも”人を幸せにする”作品が大切だと考えるようになり、そんな風に『本麒麟』もなるといいなと思います」

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