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日米貿易協定、関税撤廃率低く 米のTPP復帰につなげるか

参院外交防衛委員会で日米貿易協定承認案が可決し一礼する茂木敏充外務相=3日午後、国会・参院第34委員会室(春名中撮影)
参院外交防衛委員会で日米貿易協定承認案が可決し一礼する茂木敏充外務相=3日午後、国会・参院第34委員会室(春名中撮影)

 日米貿易協定が来年1月1日に発効する見通しになったが、日本が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で認めた米国産コメの無関税枠を見送る一方、米国も発効時点では日本製自動車の関税撤廃を認めないなど、関税撤廃率は低く抑えられた。今後、日本は自動車関税の撤廃に向け協議を継続するが、トランプ米政権の間は実現が難しいとの見方は多い。ただ、日本の市場開放も限定的にとどまっており、日本政府は中長期的に米国にTPP復帰を働きかける構えだ。

 日米貿易協定の日本の関税撤廃率(貿易額ベース)は約84%と米国離脱前のTPPの約95%に大きく見劣りする。米国側の撤廃率も約92%とTPPの約100%よりも低く、継続協議とされた自動車関連を除けば60%程度まで落ち込む。世界貿易機関(WTO)のルールに違反するとの指摘もあり、国会審議でも野党はしつこくこの点を攻めた。

 だが、政府は国会審議で「(関税撤廃に)自動車を含めるのは当然だ」(安倍晋三首相)などと強気な姿勢を崩さなかった。トランプ氏が検討する自動車への追加関税についても「課さないことを首脳間で明確に確認している」(茂木敏充外相)と説明している。

 政府が強気なのは、当の自動車業界が協定を歓迎していることも背景にある。

 「日米間の自由で公正な貿易環境が維持・強化されることを歓迎する」。最終合意後の9月26日、日本自動車工業会の豊田章男会長は協定を評価するコメントを発表した。TPPで合意した2・5%の自動車関税を25年かけて撤廃するよりも、25%の追加関税回避が最優先だったからだ。

 日本政府は今後、自動車関税の撤廃を前提に米国との協議を継続する。

 しかし、追加関税をちらつかせるトランプ米政権に関税撤廃を認めさせるのは容易ではない。現実的には“ポスト・トランプ”をにらみつつ、中長期的な視点で米国にTPP復帰を促すことになりそうだ。

 米国内にも「共和党、民主党を問わず、TPPを評価する声がある」(外務省幹部)という。復帰すればコメなどで日本のさらなる市場開放を期待できるからだ。また、TPPは知的財産権保護や投資に関する高水準のルールでも合意しており、不公正な貿易を続ける中国を牽制できる。

 茂木氏は今月3日の参院外交防衛委員会で、「米国をTPPに戻すインセンティブ(誘因)は失われていない」と強調した。(大柳聡庸)

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