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京セラのLED照明技術「CERAPHIC(セラフィック)」がゴッホ晩年の傑作を照らす 色の再現性を高め、カスタマイズも可能に

 京セラが独自開発したLED(発光ダイオード)照明技術である「CERAPHIC(セラフィック)」が、上野の森美術館(東京都台東区)で2020年1月13日まで開催されるゴッホ展の照明のひとつとして採用されている。セラフィックが照らす作品は、ゴッホが印象派に影響を受けて描いたとされる晩年の傑作だ。京セラが光にこだわって開発したLED照明は、ゴッホの筆遣いや顔料の重なり、奥行き、黒や緑の色彩などを照らし出し、作品の魅力をより一層引き出している。

ゴッホの晩年の傑作を照らすセラフィック
ゴッホの晩年の傑作を照らすセラフィック
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「光がクリアな感じで、ゴッホの作品のイメージにぴったり」

 数多くの照明調整を経験している、上野の森美術館の仙座桃子学芸員は、「セラフィックは太陽光に近いという特長の通り、光がクリアで、ゴッホの作品のイメージに合っている」とその性能を高く評価する。

 また、従来のLED照明に比べて、色味の調整が自在にできるセラフィックは美術館における光の革命ともいえる。仙座学芸員は「白を強くしたり、赤を強くしたりして、その作品に合う色調に変えられる照明は画期的。さらに、従来のLED照明に比べて、照度がそれほど高くなくても、視覚的な明るさを確保できるので、作品にダメージを与える心配もない」と話す。

独自技術でLEDに「スペクトル」という概念をつくる

京セラのLED照明技術セラフィックを採用した照明器具
京セラのLED照明技術セラフィックを採用した照明器具
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 セラフィックが、ゴッホ作品の筆遣いや顔料の厚み、多彩な色調を美しく再現できるのは、一般的なLED照明とは違った手法による独自性の高い色づくりを実現しているからだ。

 これまでのLED照明の多くは、青色LEDを黄色の蛍光体に当てて色を作るという方法が主流だ。一方、セラフィックは、紫色LEDを色の3原色であるRGB(赤・緑・青)の蛍光体に当てて色を生み出す方法を採用したのである。

 これにより、「スペクトル」(色の配列)の幅が飛躍的に広がった。RGBの蛍光体の調合比率を変えることで、対象物に合ったさまざまな色合いの光を再現できるようになった。

 京セラによると、色の再現性を示す平均演色評価数が、一般的なLED照明に比べ、非常に高い演色性を実現することが測定された。さらに、原色や人肌の色など特殊な色の再現性を示す「特殊演色評価数」でも高い数値を実現できるという。

 このような高い演色性が、作品の筆遣いや微妙な色彩を再現し、ゴッホの傑作の魅力を引き立たせている。

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歴史的建造物の演出用など「光」の新しい価値を提供

 セラフィックは、空間を明るくするためだけでなく、特定の対象物を“照らす”ことを目的に開発された。対象物がもつ本来の色合いの再現性を高めたり、顧客が求める特定の光を提供できるというセラフィックは、「光」に新しい価値を与え、利用用途が広がっている。

 その一つが、歴史的建造物の演出用照明としても採用された世界遺産・春日大社(奈良県奈良市)だ。中門の上部において、松明(たいまつ)や和蝋燭(わろうそく)といった日本で古くより灯りとして使われてきた「炎」に近い光を再現した照明を提供し、美しい朱塗りを照らし出している。また、紅葉の名所としても知られる石山寺(滋賀県大津市)では、重要文化財の東大門を色鮮やかに演出している。

世界遺産・春日大社(奈良県奈良市)では、日本古来の光を再現(撮影:桑原英文)
世界遺産・春日大社(奈良県奈良市)では、日本古来の光を再現(撮影:桑原英文)
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 さらに用途は拡がり続けており、高級インテリア照明や自動車塗装の検査工程用、アクアリウム用など、光の質やカスタマイズの特性を生かした製品も登場している。

 欧州を中心とした海外の人と比較して、日本人は光に対するこだわりが少ないと言われることもあるが、セラフィック技術を顧客に紹介すると、光の違いに驚かれるケースもよくあると言い、京セラでは大きなポテンシャルを感じている。

 照明業界において後発だからこそ、業界の常識に捉われることなく、新しい挑戦ができる。京セラは、光の質にこだわったセラフィックによって、これからも世の中に新しい価値を提供する。

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提供:京セラ株式会社

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