ヤフーとLINEの経営統合、データ寡占が焦点、公取委の審査

ヤフーとLINEの経営統合をめぐっては、日韓など各国の競争当局による承認が必要になる。日本の公正取引委員会は10月、M&A(企業の合併・買収)審査において、個人データの集積なども考慮する指針改定案を公表しており、審査は統合によるデータの寡占化が焦点になる。両社が収集した購買記録や位置情報などの個人データが寡占されれば、新規参入の阻害といった競争の制限につながりかねないからだ。
スマートフォンを使った決済サービスでは、ヤフーなどが展開する「ペイペイ」の登録者数が約2000万人で、「LINEペイ」が約3700万人。登録者数を単純に合算すると約5700万人に達する。公取委はこうした状況について「関心を持ってみている」(幹部)とし、他のキャッシュレス決済事業者との競合や、個人データの寡占度合いなどを見極めるものとみられる。
これまでM&A審査は、売上高などの市場シェアを中心に判断していた。だが、公取委は、データの集積も審査で考慮する方針を打ち出している。
背景には、IT企業のM&Aがデータ寡占につながる恐れがあるからだ。2014年に米フェイスブックが対話アプリ「ワッツアップ」を約190億ドル(約2兆円)で買収提案した際、欧州連合(EU)当局は買収を承認した。だが、結果としてデータの寡占化が進んだとして、EU当局は17年にフェイスブックに制裁金を課している。