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日産の4駆EV、1万分の1秒の制御で「意のまま」ドライブ

 試作車に乗り込んでアクセルを踏み込むと、走り出しからよどみなくスピードが上がっていく。リーフも、回転数が上がるまでに時間がかかるエンジン車と比べてスムーズだが、加速力は大きく向上していた。

 次は時速40キロ程度から20キロへの減速。一般的に車が急減速すると、前部が沈み込み、乗員の頭が前につんのめるような感覚を味わう。だが、4駆EVでは瞬時に駆動力を後輪に配分してブレーキをかけ、車両の姿勢を制御する。むしろ、後方に引っ張られるような力を感じた。

 そしてスラローム(くねくねと左右に曲がるように走行)や旋回では、ハンドルを回したままスピードを上げても、外側に横滑りするような感覚がまったくないことに驚いた。内側の車輪に適度なブレーキをかけることでスムーズに曲がることができるという。急カーブでも車線逸脱の心配はなさそうだ。

 日産がこの4駆EVに期待をかける背景には、まだまだEVという商品が「売れていない」現状がある。累計販売台数が最も多いEVであるリーフでも、今年度上期(4~9月)の国内販売台数は9244台で、登録車(軽自動車を除く)38位。首位のハイブリッド車「プリウス」(トヨタ自動車)の約7分の1だ。消費者にとって「どうしてもEVに乗りたい」という動機はまだ希薄といえる。

 その点、試乗した4駆EVにはこの車にしかない持ち味があり、EVに関心を持っていない消費者を振り向かせられる力があると感じた。減速時の姿勢維持は渋滞時での快適性を向上させ、同乗者の車酔いも防止できそう。旋回性能は山道の急カーブや滑りやすい雪上での運転で威力を発揮するとみられる。日産がこれらの性能を乗員が自覚できるように市販化し、4駆EVの独自性を幅広く伝えていけるかが注目される。

 価格設定も課題だ。斬新でも高価すぎれば、高級スポーツカーのように一部の愛好者だけのものになりかねない。それでも技術的な象徴にはなり得るが、業績回復を目指す日産にとっては、拡販に成功することが重要だ。(高橋寛次)

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