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【一筆多論】豚コレラ拡大は“人災”だ 佐々木類

韓国・ソウルで、アフリカ豚コレラの発生を受け、人道的な殺処分方法を訴える人々。豚のマスクで声を代弁。(AP)
韓国・ソウルで、アフリカ豚コレラの発生を受け、人道的な殺処分方法を訴える人々。豚のマスクで声を代弁。(AP)

 豚コレラがついに、関東地方に侵入した。岐阜県で発生してから1年たった9月のことだ。飼育頭数が本州全体の4割を超える一大生産地での発生は、養豚農家はじめ関係者に大きな衝撃を与えた。

 豚コレラがここまで感染拡大したのは、水際での侵入を許してしまい、野生イノシシ対策で後手に回ってしまったことが主な原因として挙げられよう。

 これに感染豚の出荷という愛知県のミスと、ワクチン接種を決めるまで無駄な時間を費やした国の煮え切らない対応が重なった。関係閣僚会議の初会合を官邸が開いたのは今月4日になってからだ。

 愛知県のミスは専門家らから“人災”との批判も上がった。隣県の阿部守一長野県知事も県内での発生当初、「なぜ、出荷を抑制できなかったのかを確認しなければならない」と愛知県の対応を批判している。

 農林水産省は8月、「豚コレラの疫学調査に係る中間取りまとめ」を公表した。

 注目すべきは、ウイルスが海外から侵入した可能性に初めて公文書で言及した点だ。極めて遅い対応と言わざるを得ない。

 岐阜県内で検出されたウイルスは過去に日本国内で検出されたウイルスとは異なり、中国国内で蔓延(まんえん)しているのと同じ遺伝子型であることは発生当初から分かっていた。

 これは、日本と中国を往来する人々が持ち込んだ蓋然性が極めて高いことを意味している。実際、中間まとめは「輸入検疫を受けずに持ち込まれた旅行者の手荷物や国際小包によりウイルスが侵入し、汚染された肉製品が不適切に廃棄され野生イノシシへ感染した疑いがある」としている。

 この仮説は豚コレラワクチンを開発した北海道大学の清水悠紀臣名誉教授が発生当初から唱えていた。その正しさが1年後にようやく公的に証明された。

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