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安易にAIを使って大丈夫? AIにまつわる法と倫理と社会課題

 ただし、設計上はコントロールできるような仕組みになっているとしても、実質的にはコントロールできないような仕組みは問題です。AIが考える速さは基本的に人よりも速いのです。人間の監視の下、市場を見て1秒の間に何回も株取引するAIを考えてみましょう。

 もしAIが株を買うと決めてから実際に買うまでに数秒間のタイムラグがあれば、明らかに不都合な株を買おうとしていたとしても人間が止められるかもしれません。しかし、1秒間に何回も株取引をするようでは、人間の判断スピードでは追い付けないでしょう。

米MicrosoftのAI「Tay」の差別的なツイート
米MicrosoftのAI「Tay」の差別的なツイート
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データに左右される特性

 最近では、AIには差別的な判断をする可能性があるという弱点があることも指摘されるようになりました。学習に使うデータに差別や偏見が多く含まれると、AIも影響されてしまうのです。

 ある企業のCEOにふさわしい人を推薦するAIを考えてみましょう。例えばこのAIが「50代以上の白人男性」ばかりを推薦したとします。AIに学習させたデータに白人男性をCEO採用した例が多かった場合、このように判断に偏りが出ることもあります。

 「これまで女性や白人以外の人種がCEOに選ばれる機会が不当に奪われていた社会の事実を考えれば、女性や白人以外がCEOに望ましくないというAIの判断は正しくないでしょう。このように、AIに正しい判断を下してもらうためには、学習するデータの質が重要であることも、私たちは理解しなければなりません」(平野教授)

 何もかも法で規制すれば良いというわけではない

 このように、AIにはまだ課題が幾つかありますが、平野教授は今の時点で何もかも法律で取り締まろうという姿勢は問題だと言います。AIは社会の問題を解決するために大いに役立つ技術です。これからまだまだ進化していく段階で厳しい規制をかけ過ぎると、罰則や損害賠償などを恐れた技術者たちの開発を邪魔してしまうことになりかねません。また、法律として固めてしまうと、日々進化する技術に柔軟に対応できなくなってしまうというデメリットも出てくるといいます。

 「AIに限らず技術の進歩は速いのです。最近では米マイクロソフトの対話AI『Tay』が差別的な発言をしたという例も出てきて、AI自体の設計だけでなく、AIにどのようなデータを学習させるべきかという点への配慮も重視されるようになりました。技術の進歩に柔軟に対応するためには、法的強制力はないが、社会的に守るべきだとされるガイドラインや指針、原則を作り、活用していくべきです」(平野教授)

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