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楽天携帯、出だしでつまずく 見通し甘く

楽天の携帯事業記者発表会で、独自開発のスマートフォンを発表する三木谷浩史会長兼社長=6日、東京都世田谷区(早坂洋祐撮影)  
楽天の携帯事業記者発表会で、独自開発のスマートフォンを発表する三木谷浩史会長兼社長=6日、東京都世田谷区(早坂洋祐撮影)  

 楽天の携帯電話事業が出だしからつまずいた。基地局整備や通信の安定性の確認が計画通りに進まず、事業に対する見通しの甘さが浮き彫りになった。当初の公約を果たせず、本格的なサービス開始が遅ければ来春まで後ずれすることで、通信インフラを担う企業としての信頼を失いかねず、厳しい船出となりそうだ。

 三木谷浩史会長兼社長は携帯電話の「民主化」を強調してきた。新規参入事業者としての技術優位を生かし、高速・大容量、低遅延のサービスを圧倒的な安さで提供して大手3社の寡占市場に風穴を開ける-。これを「携帯業界のアポロ計画」と称し、6日の会見でも「ネットワークに革命を起こす」と豪語した。

 だが、蓋を開けてみれば、10月に始まるのはかなり限定的なサービスだ。一報を聞いた総務省関係者は「実証実験なのでは」と思わずつぶやいたほどだ。利用者の期待も高かっただけに肩すかし感は否めない。

 楽天の計画はもともと通信業界では懐疑的にみられていた。ゼロから事業をスタートするには、基地局を数万単位で設けなければならず、本来であれば、インフラ整備にどうしても巨額の投資や時間が必要であることが明らかだからだ。

 楽天の誤算はまさに基地局整備が思うように進まなかったことだ。総務省には来年3月末までに3432局を整備する計画を提出して電波の割り当てを受けたが、用地交渉の難航や天候不順による工事のずれ込みなどの影響で、8月中旬の段階での進捗(しんちょく)はその約5分の1だ。8月末には総務省から遅れを理由に3回目の行政指導を受けた。

 クラウドを使った「仮想化」の新技術を全面採用することも足かせになった。基地局設備に割高な専用機器ではなく汎用(はんよう)機器を使えるため、設備投資費用を大幅に下げられる一方、世界初の技術にはお手本がなく、通信の安定性確保のための取り組みはすべて手探りで、時間をかけ丁寧に検証するしかない。基地局整備の遅れも相まって通信品質の検証が想定通りに進んでいないもようだ。

 楽天は通販や金融、旅行業などさまざまなインターネットサービスの土台となる通信網を自前で手がければ、利用者にこれまで以上にグループ内の複数サービスの利用を促せると踏んでいた。だが、こうした強固な「経済圏」づくりの戦略もインフラ整備への見通しの甘さで先送りになった。(万福博之)

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