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【正論9月号】沖縄知事が唱える「海兵隊不要」の危うさ 産経新聞那覇支局長 杉本康士

辺野古移設をめぐる提訴を発表する沖縄県の玉城デニー知事=7日午後、沖縄県庁
辺野古移設をめぐる提訴を発表する沖縄県の玉城デニー知事=7日午後、沖縄県庁

※この記事は、月刊「正論9月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

 米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐり、沖縄県の姿勢が変化している。玉城デニー知事が移設反対の旗を降ろしたわけではない。変化しているのは、辺野古移設に反対する根拠だ。

 玉城氏はウィリアム・ハガティ駐日米大使ら米政府・軍関係者に送った5月14日付の書簡で「米国は海軍と空軍によって中国・北朝鮮問題に対応することができる」と米海兵隊不要論を唱えた。同月31日の記者会見でも「海兵隊の抑止力は全体の一部で、海兵隊のみが抑止力として強調されるものではない。それ以外の戦力でも十分、対処可能なのではないか」と述べている。

 一連の書簡や発言からうかがえるのは、米軍の抑止力の必要性は認めつつも、軍事合理性の観点から米海兵隊の沖縄駐留は必要ない、したがって米海兵隊がヘリコプターを運用する辺野古の代替施設も必要ないとする認識だ。同様の議論は地元メディアや一部の有識者が展開してきた。しかし、県担当者によると、知事がこうした見解を公式に表明するのは初めてだという。

 玉城氏の理論武装を支えるために発足したのが、沖縄県の「万国津梁会議」だ。5月30日に開かれた初会合に提出した資料で、県は会議の論点として「在沖米軍(海兵隊)の駐留の必要性について」と明記した。だが、会議の目的ははっきりしない。座長に就任した柳沢協二元内閣官房副長官補は初会合終了後、記者団に普天間飛行場の移設先代替案を提示するか問われ「そんなものできっこない。県知事の権限を超えたことを申し上げるつもりはない」と言い切った。年度末までに計4回の会合を開く予定だが、報告書をまとめるかどうかも決まっていない。

 会議の委員は5人で、柳沢氏のほか、米ジョージ・ワシントン大のマイク・モチヅキ准教授、孫崎享元外務省国際情報局長、沖縄国際大学の野添文彬准教授、琉球大学の山本章子講師が名を連ねる。いずれも辺野古移設に懐疑的な立場だ。それだけに、玉城氏を支持する「オール沖縄」系の県議でさえ「辺野古移設容認の人を入れないと説得力がない」と批判する。

 5人は地元紙の琉球新報や沖縄タイムスに頻繁に登場する「おなじみの顔ぶれ」だ。代替案も報告書もまとめないならば、わざわざ会議を開かなくても地元紙や彼らの著作を読むだけで事足りる。玉城氏に同情的な記者からも「何のために会議を開くのか分からない」との声も出ている。

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