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【ビジネス解読】窮地のウナギに一筋の光明 人工稚魚を民間の池で成魚に育成

 人工仔魚の生存率を高め大量生産を実現するため、餌の改良のほか、栄養摂取量を増やす自動給餌機の改良を機械メーカーなどと進めているが、納得のいくレベルまでには到達しておらず、「試行錯誤」(水産庁)が続く。

 そもそも、ウナギの生態は謎が多い。川で育ったウナギは、海で卵を産むため川を下り、海で生まれた卵が稚魚となって川に上るために河口付近に集まってくることが分かっている。だが、特に卵が稚魚になる海洋での生態には未知の部分が多く、はっきりしたことが分かっていない。

 同機構は「最終的には、養殖で必要な稚魚の2~3割を人工稚魚に置き換えるようにしたい」(増養殖研究所)と、量産化研究の初期に話していたが、手探り状態はなお続きそう。商業化のめどが立つには時間がかかりそうだ。

 一方、足元ではウナギの消費が最も増える土用の丑(うし)の日が近づく。稚魚の不漁が続いた今年は今月27日。養殖ウナギ向け稚魚の大半と、かば焼きといった成魚の加工品は、いずれも海外からの輸入で賄われた。水産庁は「供給に問題なく価格への影響も小さい」と説明する。

 だが、今年は燃料コストの上昇もあってウナギの小売価格は高止まりが続いているとみられる。ある大手スーパーの丑の日用商品は、主力のかば焼きが1匹3千円前後と前年より1割ほど高いという。

 値段が高いウナギを敬遠する消費者が多いとみたイオンは、代替としてサケのかば焼きを100グラム当たり500円以下で販売。サバや豚バラ肉といった既存の代替商品のレパートリーを追加した。養鰻業者は「そのうちウナギがスーパーの棚からなくなるかもしれない」と嘆く。

 総務省の家計調査によると、丑の日がある昨年7月にウナギのかば焼きを買った家庭は約27%。18年までは家庭の半分が購入していただけに、消費者のウナギ離れは顕著になっている。

 和食の代表の一つともいえるウナギ。完全養殖で復権し、かば焼きを“夏のスタミナ食”としてためらうことなく手に取ることができる日を期待したい。(経済本部 佐藤克史)

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