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【ビジネス解読】窮地のウナギに一筋の光明 人工稚魚を民間の池で成魚に育成

人工孵化させて育てたウナギ(左)と、天然稚魚を育てた一般的なウナギのかば焼き
人工孵化させて育てたウナギ(左)と、天然稚魚を育てた一般的なウナギのかば焼き

 絶滅が危ぶまれているニホンウナギに一筋の光明が差し込んだ。完全養殖の商業化を目指す水産庁などが、研究室で人工孵化させた稚魚「シラスウナギ」を民間業者の養殖池で出荷サイズの成魚まで育てるのに成功した。かば焼きに加工しても天然稚魚を育てたウナギと遜色なく、関係者は期待を寄せる。ただ人工稚魚の価格は天然の10倍で、生産コストの削減が課題だ。卸値や小売価格の高騰でウナギを食べる習慣も薄れつつある中、商業化の早期実現が急がれる。

 ウナギは9割以上が養殖もので、現在の養殖は、河口などで採取した稚魚を民間業者が養殖池で育てて出荷している。近年は稚魚の不漁が深刻化しており、今年の国内漁獲量(漁期は昨年11月~5月)は前年実績を6割下回る3・7トンと2年連続で減少。平成25年に記録した5・2トン以来、6年ぶりに過去最低を更新した。

 国内漁獲量は昭和50年代前半に50トン前後あったのを境に、長期的な減少傾向が続く。平成26年には絶滅危惧種に指定された。このため、卵から人工孵化させて育てた成魚に再び受精卵を生産させ、次の世代を誕生させる完全養殖への期待は高い。

 今回は、人工孵化させた稚魚を研究室ではなく、民間の養殖池でも成長させられるかどうかを実験。同庁から委託を受けて研究に取り組む国立研究開発法人の水産研究・教育機構が昨年7月、大分県と鹿児島県の水産会社2社に稚魚約300匹を提供した。養殖池に移す際に輸送ストレスなどで死亡する稚魚が一部出たものの、それを除けば、天然の稚魚と同じやり方でも約10カ月かけて200グラム程度の出荷サイズまで育成できたという。

 ただ、現状では価格がネックだ。人工稚魚1匹で5400円程度もするため、商業ベースには乗せられない。高価なのは、孵化した仔(し)魚(幼生)が稚魚になるまでの生存率が低いためだ。完全養殖は22年に成功したものの、いまだ人工仔魚の飼育技術が確立できておらず、量産化が難航。国内で必要な稚魚は年間1億匹だが、数千匹しか育てることができない。稚魚までの飼育期間も海洋の2倍の約1年かかっている。

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