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【検証エコノミー】水産物禁輸 完敗看過できず 日本、WTO改革へ強まる決意

◇日本への支持も

 日本がWTO改革への意欲を強めているのは、上級委の禁輸容認について、「主要な争点の判断をせず、全く紛争解決に資することがなかった」(河野太郎外相)とみているからだ。上級委の常任メンバー7人のうち4人が空席という異常事態が続いていることも大きい。通商関連の国際紛争を裁く唯一の国際機関が不十分な体制のまま、機能不全を起こしているともいえる。

 また日本には、WTOが踏み込んだ判断をしなかったことを問題視することで、国際社会に日本産食品の安全性をアピールし、悪影響を少しでも払拭する狙いもある。WTO改革の一環として、加盟国と上級委との間で定期的に対話の場を設ける必要も訴えていく方針で、政府関係者によると「WTO側も理解を示している」という。

 9日に閉幕したG20貿易・デジタル経済相会議では、共同声明に「WTOの紛争解決制度の機能に関し行動が必要である」と明記し、紛争解決制度の機能改善で合意した。9日の会見で河野氏は「日本として大きな成果だ」と強調した。

◇韓国は態度を硬化

 だが、原発事故から8年がたったいまも、日本産の食品は韓国など海外の消費者から、放射線で汚染されていると誤解されている。日本産食品に輸入規制を続けている国は23カ国・地域にのぼり、韓国のほか中国、台湾、シンガポール、米国などが含まれる。

 また、WTO改革を目指す日本の姿勢は韓国の態度を硬化させている。韓国の聯合ニュースによると、韓国産業通商資源省の兪(ユ)明(ミョン)希(ヒ)通商交渉本部長(次官級)は日本がWTOの判断について繰り返し問題を提起していることについて、「不当だ」と主張。「適法な手続きにより最終判断が下された事案をWTOの改革と結びつけることは不適切」などと述べたという。

 日本は農水産物・食品の総輸入額の上位もしくは規制解除に前向きかどうかを判断基準に規制解除の働きかけを優先的に進めていく方針。中国や香港、台湾、シンガポールなどアジア諸国が中心で、「韓国とも対話を続けていく」という。不安払拭に向けては、圧力ではなく、丁寧な説明が必要だ。(飯田耕司)

■世界貿易機関(WTO) スイス・ジュネーブに本部がある国際機関。1995年に設立され、現在は164カ国・地域が加盟している。協定で貿易に関連するさまざまな国際ルールを定めるとともに、新たな貿易課題にも取り組み、多角的貿易体制の中核を担う。各国が輸入品にかける関税を高くするなどして国内産業を守る「保護主義」が第二次世界大戦の一因になったという反省を基に自由貿易を推進している。

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