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【経済インサイド】安倍首相イチ押しの「予防医療」、財源めぐり早くもさや当て

 この結果、これらの予防医療に関する施策が成長戦略の実行計画に盛り込まれるのは確実となったが、問題は実行するための財源だ。予防医療で社会保障費を抑制できるかについては両説あり、今のところは新たに財源を確保する必要がある。

 医療系団体の筆頭である日本医師会の横倉義武会長は、3月31日の臨時代議員会で「健診データの一元化や(官民連携の)日本健康会議の健康寿命の延伸に向けた取り組みの結果として、妊娠・出産から高齢者に至るまでの切れ目のない全世代型の社会保障を達成しなければなりません」と述べ、予防医療を推進する安倍首相と歩調を合わせる考えを強調。これに先立つ3月27日の記者会見では「社会保障費とは別財源をちゃんと確保してほしい」とも語り、必要財源は既存の社会保障費とは切り離すよう求めた。

 ■財務省は慎重

 一方、財務省は、昨年10月の財政制度等審議会(財務相の諮問機関、財政審)の財政制度分科会で「予防医療などによる医療費や介護費の節減効果は定量的に明らかではなく、一部にはむしろ増大させるとの指摘もある」と明記した資料を提出し、予防医療の推進に消極的な姿勢を明確化。社会保障の専門家の間からも「経産省の権益拡大の一環」「本当に必要な社会保障財源確保の話を覆い隠してしまう」といった見方は少なくない。さらに財務省は4月4日、財政審に社会保障費抑制などを集中的に議論する「歳出改革部会」の新設を決め、歳出拡大を牽制(けんせい)する。

 ただ、首相周辺は「予防医療の推進の財源は既存の社会保障費とは別枠で確保する方向で調整する」と明言しており、財務省の分は悪い。また「国の財政状況をみると社会保障の負担増は不可欠だが、それを国民が受け入れるための工夫が必要」とも指摘し、その“工夫”の1つが予防医療だというのだ。

 予防医療が浸透することで国民が社会保障の向上を実感し、代わりに負担増にも納得する。こうした好循環が実現するのか、それとも絵に描いた餅で終わるのか。社会保障改革は難易度の高い道筋をたどっているといえそうだ。 (経済本部 桑原雄尚)

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