PR

ニュース 経済

【主張】日中経済対話 立ち止まって戦略考えよ

 関係改善に突き進む姿勢に危うさを覚える。

 河野太郎外相ら6閣僚が大挙して訪中し、ハイレベル経済対話や外相会談などを行った。

 しかし、日本にとって成果と言うべきものは乏しく、牛肉輸出の再開に道を開く動物衛生検疫協定に合意した程度だ。

 安倍晋三首相は「日中関係は完全に正常な軌道へと戻った」としてきた。一連の会談は、その証左ということだろう。

 だが、ここは立ち止まって考えたい。経済、軍事で覇権を追求する中国の強国路線は対米摩擦が激化しても本質的な変化がみられない。むしろ最近は勢力を拡大して反転攻勢を図る動きが顕著だ。

 そこに目をつむって中国に傾斜するわけにはいかない。日本が切り崩されれば国際社会に誤ったメッセージを送る。前のめりの対応は厳しく戒めるべきである。

 日本産食品の輸入規制なども議論した。無論、隣国との経済関係は重要だが、これがもたらす負の側面も認識する必要がある。

 案の定、中国側は、米国と対立する第5世代(5G)移動通信システムで中国企業を日本市場から排除しないよう迫った。巨大経済圏構想「一帯一路」では、日本が「より明確な態度で参加することを期待する」と求めた。

 一帯一路はインフラ支援で中国の影響力を高める国家戦略だが、相手国を借金で縛る手法に批判は多い。日本は条件次第で協力する姿勢をみせてきたが、これを前面に出すと対中傾斜が際立つため「民間経済協力」の形にして実態を糊塗(こと)してきた。中国はそうした曖昧さを排そうとしている。

 中国はイタリアとの間で先進7カ国(G7)で初めて一帯一路に協力する覚書を結び、欧州分断を助長した。日本参画は中国の覇権追求を後押ししよう。「イタリア化」を避ける慎重さが必要だ。

 日本側からは、強制的な技術移転や知的財産権侵害への懸念も表明した。対応を促すのは当然である。ただ、真に改革を迫るには20カ国・地域(G20)などの場で包囲網を敷く必要がある。日本が議長国を務めたG20財務相・中央銀行総裁会議で、その努力が見えなかったのはどうしたことか。

 政府は昨年も首脳会談を成功裏に導こうと関係改善に躍起となった。だが、目先の成果を求めて動けば禍根を残す。いま一度、戦略を精査する冷静さが必要だ。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ