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「本業と無関係」「10年かかる」 キャビア養殖に挑む電線メーカーの生き残り術

 しかし、先行事例も多くはない事業に着手するのはもちろん簡単なことではない。当初は方向性も見えず、失敗を繰り返した。まずチョウザメの稚魚を1000尾買ったが、わずか1週間で全滅してしまった。

 ショックだったが、嘆いていても仕方がない。担当者は、全国の水産業者に片っ端から電話をかけて、うまくいかない理由を探った。ほとんど相手にされなかったが、一人だけ親身になってくれる養殖の専門家がいた。その専門家は後に金子コードに入社し、事業を担う存在になっている。その人の助けによって分かったのは、「きれいな水」の大切さだ。

 「日本一きれいな水がある場所」を養殖の拠点にしようと考え、目を付けたのが、金子コードの工場もある浜松市。市内の春野町には、天竜川上流のきれいな水が豊富にある。14年12月、そこに養殖場を構えた。チョウザメが暮らすいけすの水は源泉かけ流し。中の水は1日5回入れ替わる。ぜいたくにきれいな水を使える環境だった。

 こうして、ようやく新事業が前へと進み出した。

浜松市春野町に構えたチョウザメ養殖場
浜松市春野町に構えたチョウザメ養殖場
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きれいな水で育ったチョウザメ
きれいな水で育ったチョウザメ
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 「世界一おいしい」高級ブランドへ

 キャビア養殖を始めた当時は、高級路線か、大量生産か、という方針さえ決まっていなかった。自ら育てたチョウザメから取れるキャビアがどんな味になるか分からず、方向性を決めるための情報も少なかったからだ。

 17年2月、初めて取り出したキャビアを試食するときがやってきた。担当者は「できることは全てやった。おいしいはずです」と力を込める。金子社長が一口食べてみると、「おいしかった」。保存料を使用せず、熱処理もしないキャビアの味は濃厚でクリーミー。それまで食べてきたものとは全く違った。シェフやソムリエなどの専門家にも食べてもらうと、「世界一おいしい」という反応が返ってきた。

専門家にも好評な生キャビア
専門家にも好評な生キャビア
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 それで方向性が決まった。高級路線だ。高品質のおいしいキャビアを、日本を代表するホテルやレストランに卸す。そして、春野町にちなんで名付けた「ハルキャビア」のブランド価値を高めていく。

 現在は約1万6000尾を養殖しており、今シーズン(18年11月~19年3月)は約100キロのキャビアを生産できたという。23年ごろには生産量が増えてくる見込みだ。さらに、キャビアやチョウザメを化粧品やサプリメントに活用する商品開発も進めている。

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