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【主張】地銀統合と独禁法 地域を支える適用緩和に

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 安倍晋三首相が、人口減などで厳しい経営環境下にある地方銀行や乗り合いバス事業者の経営統合について、独占禁止法の適用を緩和するよう検討を指示した。

 統合の可否を厳格に審査してきた公正取引委員会のルールを見直すことで、経済情勢に応じた業界の再編が円滑に進むよう促すのが狙いである。

 自由な競争を妨げかねない統合に厳しい目を向ける公取委と、地銀の統合を後押しする金融庁の間で、審査のあり方について対立が生じる事態もあった。いたずらに審査が長引く混乱を避けるためにも、明確なルールで政府内の足並みをそろえるべきである。

 重要なのは、地銀の取引先である中小企業やバスの利用客が不利益を被ることなく、地域経済の活力を維持できるかどうかだ。これに資する現実的でわかりやすい競争政策を確立してもらいたい。

 首相は、来夏の成長戦略を議論する未来投資会議で「地域のインフラ維持と競争政策上の弊害防止をバランスよく勘案し、判断を行うことが重要だ」と述べた。

 独占や寡占で競合他社との競争が妨げられる事態を防ぐべきは当然だ。一方で、独禁法の規制が厳しすぎて地銀やバス事業者が共倒れになるようでは、地域経済に甚大な被害が及びかねないという問題意識も、もっともである。

 見直しのきっかけは、ふくおかフィナンシャルグループと、長崎県が基盤の十八銀行の経営統合をめぐって生じた混乱である。公取委は、統合で長崎県内の貸出金シェアが約7割になることを問題視し、統合に待ったをかけた。

 最終的に貸出債権の一部を競合他社に譲渡することで統合が認められたが、決着するまで2年以上もの長い期間を要した。

 人口減に伴う需要縮小に直面する地域の競争環境は、かつてとは様相を異にする。金融やバスの公益性を踏まえて、特例的に独禁法の制約を緩め、統合しやすい環境を整えることには意味がある。

 ただし、地銀などの単なる延命策として見直すのではない、という点は銘記しておきたい。主眼は金融サービスや公共交通の維持である。統合や提携は手段の一つにすぎず、目的の後先を混同してはならない。審査が通りやすくなるからといって、ただ統合へと走るだけでは、人口減に対応しきれないと認識しておく必要がある。

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